ブルーすかい。

□夕焼けこやけで日が暮れて
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結局あのあとはみんなが涼太を問いただしている中、私は何も言えなくて、大輝も何も言ってこなくて、完全下校時間とやらになってしまったため、その日は何もすることもなく終わってしまった。
途中で戻ってきたさつきは私たちの異変に気がついたようだったが、あまり干渉はせず、クラスの子と買い出しがあるとかで別々に帰ることになった。





「はぁ…。」





まさかこっちにきてこんなに乙女な気持ちになるとは思わなかったよ…。
とぼとぼと歩きながら校門を目指す。
でも大輝があんなふうになるなんて今までなかったし、何が原因なのかさっぱり見当もつかない。
だって涼太の特集に出てたのを怒るんなら普通にいつもみたいに堂々と怒ってくれればいい。というかむしろそうなるだろうなぁって思っていたのに。
何が原因なのか、恋愛に関して頭の弱い私にはわかるすべもなく。
…恋多き人って想像すると涼太しか出てこないんだけど、今回はそうもいかないしなぁ…。
と、もんもんと考えている時トントンと肩を叩かれた。





「どうした奈々、…なんだか僕が声をかけるときはいつも元気がないような気がするな…。」





「あ…赤司くん。」





振り向けばそこには夕暮れのおひさまに綺麗に溶け込むような赤髪。
そして哀愁漂う儚げな笑顔にこちらも眉を垂らして笑う。
確かに彼に声をかけてもらうときはいつも元気がなかったかもしれない。
まえは涼太が機嫌悪くてその原因がわからなくて…、そんで赤司くんに話を聞いてもらって…。
そこで今あまり思い出したくない人の顔を思い出す。






「…奈々?」






赤司くんに呼ばれハッと気がつけばなぜか頬を涙が伝っていた。






「えっ?あ、あ…あはは、ご、ごめんね!なんでもないから!」





慌ててごしごしと制服の袖で涙を拭えば、赤司くんがハンカチを取り出して渡してくれる。
…し、紳士だ…!
ありがたく頂戴して涙を拭く…。
が、どうにも止まらない。
うつむき、地面とにらめっこをしながら懸命にこらえようとする。
体に変に力が入ってしまって、折角貸してもらった赤司くんのハンカチを思わずぎゅっと握りしめてしまう。
そんな私を心配してなのか、赤司くんは私の肩に両手を置き、その場にしゃがみこむ。






「奈々…。」






「い、いやあ…な…んでだろうね…ちょっと…前まで…なんとも思ってなかったのに…なのに…いきなり……。」





心配そうな顔をして私の顔を覗き込む赤司くんを見て何か言わなきゃとは思うのだがこれ以上言葉が続かない。
というか私はどさくさにまぎれて何を言っているんだ。
誰とまでは言っていないけれど、察しのいい赤司くんは多分、気がついているのだろう。
誰のことを私が言っているのか。
あの場では涼太をどついているように見えたけど、本当は違う。
多分あの部屋で何が起きていたのか彼はすべて把握している。
目の前のこの子は、赤司征十郎はこういう人なのだ。
彼の目をジッと見つめると、綺麗な透き通った赤い瞳に何もかも見透かされてしまいそうだった。
だけど、その瞳はどこか優しさの色を帯びていて、その目を見て、どうにもこらえきれなくなって私はついに泣き出してしまった。
そんな私を赤司くんはそっと抱きしめてくれる。






「大丈夫、大丈夫だよ奈々。」






「うっ…ぅえぇ…っぐ…。ばかぁ…っ!大輝のバカァアッ!」





外で大声をあげて泣く中学生なんて早々いないだろう。
赤司くんは耳元で叫ばれてうるさくなかったのだろうか?
ぽんぽんと背中を撫でてくれる赤司くんの胸の中はそれはそれは暖かくて、日が暮れるまで私は泣き止まなくて、結局、赤司くんが私を送ってくれることになった。
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