ブルーすかい。
□文化祭とかいうリア充行事
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「奈々ーっ!」
「おわっ!?」
むぎゅーっと後ろから抱きついてきたのはもう頭に感じる感触でわかる。
「さ、さつきさん、そのように惜しげもなくそのけしからんものを私に押し付けないでください…!」
「奈々なにいってんの…。」
いや、自分でも何言ってるのかわからないけどさ。
でも、あの、その、巨乳羨ましいです!
でも巨乳って大変だなぁってこの体になってからわかった。
実は密かに私Eあるんですけれど、これまた肩がこる肩がこる…。
本当に大変ですね…あとバスケやるとき邪魔…走りにくい…。
昔の体はスレンダーだったから、本当にもう空気抵抗もなくて走りやすい走りやすい…。
あ…い、言ってて虚しくなってきたからこの辺にしておくね…!
「そういえば奈々のクラスは何やることになったの?」
「なんか喫茶店だって、女の子はメイド服で、男の子はタキシード?」
そして私は例のこと…大輝がタキシードを着たらやばそうだという話をさつきに話すと彼女はいきなり吹き出して笑い始めた。
「あっははは!!大ちゃんが着たらただのホストになりそうだよね!」
あぁ!なるほど!
確かに彼が着たら…ふむ、確かに単なるホストと化しそうだ。
というかそんなこと言ったら帝光バスケ部のキセキの世代にスーツ着せたら皆ホストに見えそうだけど…。
あ、やばい、ちょっとそのホストクラブ行きたいかもしれない…。
「さつきのクラスは何やるの?」
「ん?クレープ屋さん!私、作る係だから奈々は大ちゃんとぜひ食べに来てね!」
「…も、モチロンサァ…。」
言えない。
口が裂けても言えない。
さつきが作ったクレープは死んでも口にしたくないなんて…!
「ん?奈々どうしたの?なんかぎこちないけど…。」
「え、え!?い、いやなんでもないよ!アッハハ…。」
「そう?ならいいけど…。」
ごめん!さつきごめん!友達だけど…!
私たち友達だけどどうしてもそれだけは無理なの…!
思い出されるのは前に大輝が持ってきたお弁当。
中身を見させていただくとまぁこれまたまっくろくろすけ…!
作ったのがさつきだと聞かされて納得してしまった自分も自分だが…。
この動揺をなんとかごまかせたことに安堵すると、さつきはそういえば、と私に再び向き直る。
「そういえば部活でも模擬店出せるんだけどさ、なんかいい案ないかなぁ…?
来年の新一年生捕獲のためにもーって赤司くんとミドリンと話してたんだけど…。」
なかなかいい案がでなくって…。と落ち込むさつきを見てなにかないか、と考えたときによぎるのは先ほどのホストの話。
いや、こ、これはいいのか…!?
いやでも…集客にはなりそうだ…。
「ね、ねぇさつき…。」
思い切って私は彼女に提案することにしてみた。
ふざけてるとか思われそうだけど、別にいいじゃないか!
考えたものが実現するかは口に出してみないとわからない!
議案書を出すときと同じだ!
「指名制の1on1対決…ってのどう…?」
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「へぇ、面白そうじゃないか。」
さつきに先ほどの話を提案してみたところ、面白そうだということで赤司くんに提案書を提出しに行った。
…というか提案書ってなんだよ提案書って…。
まぁ提案書というだけあって中には一体それがどういうものなのか、経費はいくらかかるのか、準備するものはなど色々と記入されているのだが…。
「スーツを着てやる…というのはちょっと驚きだったけどね。まぁいいハンデにはなるだろう。あれで動くとなると結構厳しいものがあるからね。」
そう、先ほどさつきと話していたことがちらちらと頭によぎり、ここで結構させていただくことにした。
…キセキの世代の、ホスト化計画…!
最初は却下されるかと思ったが「文化祭だ、たまにはこれくらいハメを外してみてもいいだろう」と赤司くんがすんなりOKをくれたのでビビった。
相談者のさつきは「これでテツくんのスーツ姿が見られる…!」と言葉通り地に足がついていなかった。
…どんだけ黒子っちのことがすきなのさつき…!
「じゃあさっそく準備に取り掛かろう。ちなみに1on1の指名者の中にはうちのレギュラー陣しか入れないつもりだから彼らの服のサイズを聞いてきてくれ。」
「了解しましたー!」
舞い上がっているさつきのかわりに返事をすると赤司くんはふ、と何かを思いついたように私たちを見て、そしてニヤリと笑う。
な、なにか嫌な予感しかしないのだが…!?
「マネージャーは、選手のケアをするのが仕事…だよね?」
「そ、そうだね…?」
「じゃあ当日、マネージャーの君たちにもちゃんと仕事を用意しておくからそのつもりで頼むよ。」
いいね?と釘を刺されてしまえばもう首を縦に降ることしかできない。
というか彼の命令には逆らえない…赤司様の言うことはー?ぜったーい☆だからね…。なんだよ☆って…。
とりあえず舞い上がるさつきを連れて体育館へと向かう。
おそらくレギュラー陣であるキセキの世代はそこにいるだろう。
さっさとサイズを聞いて赤司くんに提出、そしてスーツを用意しなければ…。
なんだかさきほどまで想像の中だけの話だと思っていたのに、本当に実現してしまうなんて…。
「世の中いってみたもの勝ちなんだなぁ…。」
真面目にそう思った。