ブルーすかい。

□練習試合
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道端で何度もひっついてこようとする涼太をひっぺがし、なんとか学校へと到着する。
朝練だからと彼を更衣室へと送り出し、私は体育館へと向かう。
朝練の際はマネさんは着替えなくても良いという条例ができた。
もちろんこれは赤司くんからのささやかな気配りである。
体育館を除けばそこには既にさつきの姿が。






「おはよさつき!」






「おはよ奈々!昨日はどーだったぁ?」






ニヤニヤとしながら聞いてくるさつきを軽く小突いてやると「えへへ、ごめんごめん」と可愛く笑われた。
く、くっそう、可愛いとこういう時得するよな…ずるいぞくっそう…!
さつきと一緒にモップがけをしたり、ドリンクを作ったりと軽く雑談をしながら進めていくと一番最初にコートに入ってきたのは赤司くんだった。






「おはよう二人共。いつもいつも悪いね。」





そういって爽やかに笑う彼はやはり王子様という肩書きがぴったりだ。
…まぁ怖いところ抜きにしたらだけど…。





「おはよ赤司くん!」




私が笑顔で挨拶をすると彼も笑顔を返してくれる。
く、くっそう眩しい…!
というか漫画の世界だからあれだけど、やっぱりこの世界って美形多いよなぁ…。





「おはよ赤司くん、あぁ、そういえば前に言ってた学校の練習試合どうしたの?」





「練習試合?」





そして次にさつきが赤司くんの挨拶に返事をしたのだが、その言葉の中には私が聞いていない言葉が含まれていた。
練習試合…とは…?





「あぁ、前に言ってたところか。ちょうど一軍に新しいメンバーが入ってきたところだったから彼らに行ってもらうことにしたよ。」






え、えっといつの間に組んだんですか…!?
確かに少し前に進級テストなるものがあった。
そして数名、一軍にあがり、数名は二軍に下がった。
間近で見ていて思ったけど、彼らそこまで圧倒的な実力差があるわけではないのに、ホンの少し、あと少しというところで降格をしてしまった。
やはりシビアな世界なんだなぁ、とつくづく思う。
進級テストの時の空気は張り詰めていてあまり好きじゃない、と赤司くんに以前こぼしてしまったことがあるのだが、彼も「そうだね…。」と苦笑いを返してくれた。

圧倒的な力を持つ彼らからしたら、目の前のほかの人たちはどう見えているのだろうか…?






「えっと、じゃあ助っ人は誰連れてくの?」





「あぁ、助っ人は真太郎に頼んでおいたよ。」






「ミドリンね〜了解!」





確かなんか一軍の人を最低ひとりは試合に連れてくんだっけ…?
絶対勝利だから、もし危なくなった時のために…。
今回は一軍の人たちが行くんだからてっきりその人たちだけで行くんだと思ったけど…。






「それと…。」





赤司くんはそこまで言うと私に体を向けてニコリと微笑む。
訳が分からず私もニコリと微笑むと、それを肯定ととったのか彼はさつきにはっきりとした口調で言った。






「その練習試合、奈々を選手として出してみようと思う。」






私は先ほど浮かべた笑顔のまま、固まってしまったのは言うまでもない。





(ちーっす…ってこいつどうしたんだよ)



(あー、赤司くんがね…問題発言したら固まっちゃって…)



(あんれ〜、奈々ちん銅像になってんじゃーん)




(こんなところで固まられると困るのだよ)





(っっってか!今日の奈々可愛くないっスか!?てか固まってるなら触りたい放題じゃないっスかひゃっほー!)





(黄瀬くんうるさいです、黙ってください、あと奈々さんがかわいそうなので触らないでください)




(ヒドッ!?)
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