ブルーすかい。

□ナイショの話
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「じゃあ、また三日後ね!今日やった内容忘れないようにね!」




結局、大輝が解いたテストは80点と高得点だった。
彼割りと勉強すれば勉強できるようになるのかもしれない、と内心ほくそ笑む。





「おー、わぁってるって、んじゃ、奈々は黄瀬に襲われないように気をつけるんだな。」





「っあ、あの子はそういう子じゃないから!」






「わかんねぇぞ〜?男なんて皆一緒だからな〜。」





「あーもう!そんなこと言わずにまっすぐ帰りなさいね!バスケしちゃだめだからね!」





「へいへい。」





私たちの会話はいつもこんな感じだ。
会話だけ聞いてると姉と弟の話みたいな、そんな感じかな。
彼の後ろ姿に手を振ると、彼もこちらをみないものの、腕を私に向かって振ってくれた。
それがなんだか嬉しくて頬が緩んでしまう。


大輝が好き。


そのことに気がついてからはほんわか心があったかくなったような、そんな感じがした。
今まで好きになった人はいるものの、プロのバスケットボール選手だったり、芸能人だったりとかなりの確率で叶わないような相手ばかりを好きになっていた。
だから、言ってしまえばある意味初恋。
初恋は実らないというが、そんなのはさみしい。

部屋に入り、誰もいない空間を見渡す。
昨日は涼太が朝まで家にいたが、さすがに大輝をこのまま家に引き止めるわけにもいかない。
誰もいない空間は先程までとは違ってとても寂しかった。
ほんのりと残った大輝の香りに少し心細くなる。

誰かとなんでもいいから話したくなって私はさつきに電話をかけることにした。

1コール目。

2コール目。

3コール目。







『はーい!』





「あっさつき?」





『に、決まってるじゃん!私の携帯なんだから!』






「あはは、そうだよね〜。」






彼女は3コール目で出た。
なんだか電話越しの声って聞いていると人恋しくなるよね、そのままその話している相手に抱きつきたくなったり。






『それで、何かあったの?』






「んーん、特に用はないんだけどね〜。」






それからさつきは私のどうしようもないくだらない話にずっと付き合って笑ってくれた。
私も久しぶりの友達との長電話でとても楽しかった。
しばらくすると、さつきは「あっ」と小さく声を漏らした。






『奈々、ちょっと待ってね…』






そういうと、何か彼女はカラカラと窓を開けるような音を立てた。
電話越しなので一体彼女が何をしているかわからない。
音だけが頼りなので必死に耳を澄ますが、別にそれは必要がなかった。






『ちょっと大ちゃーん!いるでしょー!』






「さっさつき!?」





どうやら彼女は電話を耳に当てていないらしく、私の声は届いていない模様。
こんな時間にそんな大声を出していいのだろうか、と近所迷惑を心配し私は内心オロオロと慌てる。
しばらくすると電話の向こうからかすかにカラカラという窓が開く、または閉じる音がした。






『だから大ちゃんってのやめろっつっただろ。』





『だって仕方がないじゃない!昔からずっとそうやって呼んでたんだからー!』





一瞬後聞こえてきたのは先程まで一緒にいた彼の声で。
今だけ、家がとなりでいつでも話せる距離にいるさつきが羨ましく感じた。
寝てたのかどうなのかわからないが少ししゃがれた声の彼の声は妙に色っぽくて聞いていてドキドキした。
そして次の瞬間さつきがまたもーこの子はいらんことをいう。






『今奈々と電話してるんだけど、大ちゃんなんかお話してあげて!』






そのあとにボスッという雑音が聞こえる。






『はぁ!?っちょおい!お前携帯投げんなよ!』





どうやら先ほどの音はさつきが大輝に向けて携帯を投げつけた音のようだ。
その証拠に彼の声がさつきの声より大きく聞こえるようになった。





『大丈夫大丈夫〜、私もう寝るだけだし、明日の朝返してね〜よろしく〜!』





ガラガラ…ピシャッ。



そんな音が聞こえてきたからおそらくさつきは窓を閉めて大輝に自分の携帯を預けたまま本当に寝てしまうのだろう。
ピンクの携帯を呆然としながら持つ彼の姿を想像して思わず笑ってしまう。





『なーに笑ってやがんだよ。』





「やっ…ピンクの携帯持ってる大輝想像したら…面白くて…っクク…。」






『…はぁー…。』





自分に声をかけられたことも嬉しくてついついニヤついてしまう。
そういえばさつきに自分の気持ちを伝えることを忘れていた。
まぁ明日言えばいいか、と思ったあとに大輝が「おい」と私に声をかけてきた。





「どうしたの?」
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