ブルーすかい。

□魔法の笑顔
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〜青峰side〜






「…っはー。」





いきなり顔真っ赤にしたと思ったらあたふたし始めて、そんで、俺にテスト押し付けてお風呂入りやがったあいつ…。

始めて入った部屋をぐるっと見渡してみるが、結構殺風景な部屋だった。
家具は必要最低限のものしか置いていない。
食器棚の中にはなぜか大量の食器が入っているから、昔はここで家族で暮らしてたんじゃねぇかなぁ、なんて勝手に想像する。

しっかし、今日はいろいろとあった。
あんなにバスケが楽しいと思ったのはいつぶりだろうか。
…でも結構最近まで普通にバスケ楽しかったもんな、そこまで久しぶりじゃねぇのかもしんね。

さつきやテツには悪いことをしたと思ってる。
でもやっぱり俺は、俺にしか勝てねぇ。
奈々とやって楽しいと感じたのは、テツと始めて連携がうまくいったときのことを思い出したのと、思ったより奈々がバスケうまくて正直嬉しかったからだ。
女であそこまでやれるやつは多分全国で探してもいないだろ。
体育の時間と部活動の時間でのできごとを思い出して思わず頬を緩める。

…しっかし、この問題難しいなオイ。

それにしても…さっきの奈々は一体なんだったんだ…?
いきなり怒ったと思ったらいきなり顔を真っ赤にして挙動不審になって、熱あると思って心配して手を当てたらもうびびってるのなんのって。
体かっちんこっちんに固めてよぉ…。
…まるで。
……まるで好きな奴にでも触れられるような顔してよ…。

そこまで考えてからはぁーと大きなため息をつく。
お願いだからあんまり期待させるようなことしないでくれ。
自分がどういう人間なのかは自分がよくわかってる。
だからもし、あいつが目の前で俺のことを冗談でも誘ってきたら、自分を止められる自信がねぇ。

膝を立ててその上に自分の頭を乗せる。
とりあえず奈々が風呂から出てくる前までにテストを解き終わっておきたい。

わりぃが勉強でふたりでゆっくりできる時間が減るなんてまっぴらゴメンだぞ。
時計を見れば現在の時刻は午後7時30分。
多分奈々のことだから9時には家に帰れとか言いやがるだろうから、とりあえず8時前までには終わらせて、あとは…。
隣に座ってぼーっとしてるだけでも構わねぇ。
それだけでも今の俺は満足できる。

…でもいつかそんなんじゃ満足できねぇ日がきっと来る。

それまでには。





「俺の女にしてやるから、覚悟しとけよ。奈々。」





決心をするように、わざと口に出す。
言ってからチラリとお風呂場の方を見て奈々が出てきていないことを確認してから安堵の息をつく。

まったく、あいつはどこまで俺を焦らせば気が済むんだろうなァ…?




…つかあいつまじで料理うめぇ。
さつきとは大違いだった…さつきっていっつもどうやって料理作ってんだ…?
…今度見学させてもらおう…。
つーか、俺より先に奈々の手料理食った紫原と黄瀬はいつか殺す。ぜってー殺す。
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