ブルーすかい。

□魔法の笑顔
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くっきりと右頬にもみじをつけた青峰くんはぶっそーとしながらご飯をもぐもぐしていた。





「うめぇ…けどいてぇ…。」






「青峰くんが悪い!」





フンッとそっぽを向けば青峰くんは決まりの悪そうな顔をする。
まったく!最近の中学生は進んでるなんて聞いたけどこいつは進み過ぎなんだよ!
中学生があんなことしねぇよ!もっと大人な感じの男の人が彼女とかにああいうことして「これも美味しいけど…君も美味しいね…。ねぇ、もう我慢できないや、君のこと食べt(自主規制)」みたいな感じで愛をささやきあうんだよ!
えっ?なんだって?
私の脳内の方がピンクなんじゃないかって!?
いいんですぅー!私は一応成人してるからいいんですぅー!
でも、今思ったけど今の想像の中の男の人を涼太にしたって青峰くんにしたって黒子くんにしたって赤司くんにしたってむっくんにしたって緑間くんにしたって、みんな違和感ない。
…おいおいおい、そりゃないぜ…。

というか昔の私からしたら一緒にこうやって男の子と食卓を囲むっていうのも想像できなかったから、今のこの状態が不思議な感じがする。
むっくんのときはほんと近所の子供の世話をしてる感じだったけど、青峰くんはなんか、やっぱり同級生って感じするから子供…でもないし、弟でもないし…。
じゃあ、彼氏?
と、想像したあとに目の前の青峰くんを見るとバチィっと目が合う。
その瞬間一気に意識をしてしまい、顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。






「…奈々どーした?」





「な、っなんでもない!」





最後の一口を口の中に突っ込み、水を一気に飲み干すと私は空いたお皿をもって流し台へと一直線。
そんな私をどこか不思議そうな目で青峰くんは見つめてくるけどお願いだから今こっちみんな!

さっきの後遺症というかなんというか、もし青峰くんが彼氏だったらどうなんだろうって考えたときに一番最初に出てきたのが性行為のシーンなんだけどどういうこと!?

いや、彼がもともとそういう人だってわかってるからなのかもしれないけど…。
う゛ーと頭を抱えると彼も食べ終わったのか流しへとお皿を持ってくる。





「なんでもなくねぇだろお前…。」





「だってー…。」





流石に彼にこんなことを言えるはずもなく、目の前の中学二年生をジッと見つめる。
なんだか経験があってもおかしくなさそうなかれなのだが、さつきから聞くに恋愛という恋愛はしたことがなかったという。
好きな子ー、なんていうものはいままでいなかったと思うよ、とさつきがいっていた。
そんな彼が数日前に涼太と私のことを…。

そこまで考えてまた顔が熱くなる。






「熱でもあんじゃねぇか…?」





と額を何気ない仕草で触ってきた彼に何もすることができず、ただただ体を固まらせてしまう。
熱はねぇなぁ…とかいいながら悩む彼を見てもう意識しないなんてできなかった。
普通イケメンに好きだと言われて嫌な女の子はいないと思う。
…すまないが私の中できせりょは論外だ。
片耳ピアスシャラデルモわんこ涼太は私の中では可愛いわんこにしか見えない。
というか最近うざいぞあいつ。
とりあえず青峰くんから意識を外すために私は先ほど青峰くんが持ってきたプリントを見てからテストをやらせることにした。
そしてそのテストをしている間…。





「シャワー浴びてくるから!あとは頑張ってやってね!」





と逃げるようにしてお風呂場へ駆け込んだ。
あのままふたりっきりでリビングにいたら心臓が持たない。
バクバクとうるさく高鳴る心臓を押さえつけ、その場にうずくまる。
ぐしゃっと髪の毛をかきあげ、自分の気持ちに素直に耳を傾ける。
やはりこれはどうしようもない事実らしい。
というか一瞬にしてここまで意識できるものなのか…?
確かに、最初に涼太に追いかけられた時に助けてくれたし、誰かのためにお菓子を作ってあげようと初めて思ったのも彼だし、バスケ一緒にやって笑顔をみせてくれたし、灰崎くんに襲われたときも一番にやってきて助けてくれたし…。
意識しだすときりがなかった。
今まで彼にしてもらったたくさんのことを思い出すと、とたんに顔が熱くなる。

まだ好き、なんて言われてないけれど、涼太との言い合いでなんとなく彼の気持ちに察しはついている。
でも今の今まで何も言われてこなかったし、もう私のことは何とも思っていないのかもしれない。

あああ、どうしよう…。
これはどうしようもなく、
好きなのかもしれない。
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