ブルーすかい。

□魔法の笑顔
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「おー…やっぱ外装も外装なら内装も内装だな…。」





とりあえず、部屋に入らないことには始まらない。
折角彼が私の料理を食べたいと言ってくれたのだ、気合を入れて作らなければならない。






「青峰くん、その机の上に教材あるからそれの一番上のプリント自分で解いてみてー、その間に料理作っちゃうから!」





「おー。」






なんだか最近家に一緒に帰ってその人たちと一緒に夕飯を食べることが続いたからなんだかとても楽しい。
寂しくなくてすむっていうか…。
ひとり暮らしって以外と心細いからね、楽しいことばっかりじゃないんだよ。

メニューはオムライスにしようと思いとりあえず冷蔵庫の中からたまごを5つほど出す。
本当はこんなに使ったら体に悪いんだけどなぁ…なんてため息をつきながら。
でもせっかくならふわっふわのオムライス作りたいもんね!
私はかしょかしょと音を立てながら料理をし、青峰くんはせっせと問題を解く。
なんだかんだで彼らってちゃんと真面目だと思うの。
そんな姿を見て微笑ましくなる。
とりあえずてきぱきとオムライスの卵の下準備を終えて、チキンライスを作る。
朝のうちはちゃんと意識していたのか、ごはんはちゃんと2合炊いてあった…さすが私。






「奈々ー、ここわかんねー。」





「はいはい、ちょっとまってー!」





キッチンの向こうから青峰くんが声をかけてくる。
なんだか、すごく大きな弟ができたみたいな感じ。
そう思った途端になんだかおかしくなってしまって口角が緩む。






「なにニヤついてんだよお前…。」





「なんでもなーい!」





弟みたいだ、なんて彼に言ったらなんだか怒りそうだからそっと胸の内にしまっておく。
とりあえず彼がわからないといっていた問題を最初から解き方を確認しながら丁寧に教えていく。






「お…おっ、わかった!」





「よーっし!じゃあ引き続き頑張れよ少年!」





ひとつ解決すればそれだけで目を輝かせて、やっぱり子供だなぁなんて思ったり。
こんな日々がずっと続けばいいな。
さて、チキンライスをさっと炒めてつくり、オムライスの主役である卵を焼き上げる。
ナイフを入れるとふわっと全体に卵がかかるタイプのあのオムライスだ。
前にテレビで見てあんな綺麗で美味しそうなオムライスを作ってみたいということで母親と猛特訓した。
そのおかげで今では得意料理のひとつとなった。
いつか彼氏が出来たらこれを振舞って、一緒に「美味しいね」って言いながら笑い合えたらなー、なんて想像したりしたっけ…。

昔の思い出にふけりながら焼きあがったオムレツをチキンライスの上に乗せる。
切込を入れるのは少しおいてから。
半熟過ぎてもいけないし、かたくなってしまってもいけないし。タイミングが結構難しい。






「奈々、終わった。」





その時、まるでプリントを見せびらかすように隣に立っていたのは青峰くんだった。
彼は私の目の前に佇むオムライス様を見て途端に目を輝かせる。




「すっげ…!」




「お疲れ様、今からこれにナイフ入れるから見ててね、結構感動するんだから!」





今にもよだれを垂らしそうな彼を横目に私はスッとナイフで中央部分に切れ込みを入れる。
すると、オムレツは綺麗にチキンライスの上にひろがり、とても美味しそうな半半熟の卵がかかる。






「おー…っ!」






彼もどうやらお気に召してくれたようで、その瞬間を無邪気な子供のように見ていてくれた。
それが嬉しくって私は思わず頬を緩める。







「じゃあ、ちょっと机の上片付けてこれ向こうに運んでくれる?
机の隣にランチョンマットある筈だからそれ引いてからこれ置いてね!」





「おう!」






そしてここからは共同作業。
青峰くんができた料理を運んで、私は最後に付け合せのサラダを作る。

プチトマトが冷蔵庫の中にいたのを発見したので折角だからと全て水で洗って食べてしまうことにした。
レタスをちぎって白い皿の中へ入れ、中央にプチトマトを並べる。
今日の彩は完璧だろう。
あまりにもプチトマトが美味しそうだったのでひとつつまんで口の中に放る。
甘酸っぱい味が口の中に広がりとても幸せな気分。
なんだこのおいしいトマトは…!
思わずもうひとつ食べようとすると青峰くんがこちらに戻ってきていたらしく、プチトマトを摘んだ手をガシッと掴まれてしまう。





「つまみ食いたぁいい度胸じゃねぇか奈々…!」





「やっ!あのその!」





そんな怖い笑顔でこちら見られても困るんですがあの!!!!!
というかこれうちのトマトだし…い、いや抱けど待っている人がいるのにつまみ食いした私が悪いのか…?
うーんとうなって考えていると、いきなり、指先にねっとりとした感覚。






「んぁっ!?」






「…ん、ごちそーサマ。」





気がつけば私の指ごと青峰くんの口の中に入っていて、そして私の持っていたプチトマトは跡形もなく消えてしまった。





「おー、うめぇこのトマト。早くくおうぜ。」





先程の行為を微塵にも気にしていない彼を見てふるふると私は体を震わせ…。






「こンのエロ峰ぇええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」






気がついたら叫んでいた。
…いやぁ、叫びたくもなるってこれは…。
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