ブルーすかい。
□そして影は言った
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「ごっめん奈々!終わっちゃった!?」
「おっそいよさつき!もう終わったっての!」
洗濯物を干し終わり、ふぅ、と外のベンチで一息ついていると後ろの方からピンクの髪の毛を揺らして、そしてついでにその胸についている豊満なものも惜しげもなく揺らしてこちらに走ってくるさつき。
…いやぁ、眼福眼福。
まぁ彼女の様子を見る限り、目ももう赤くないし、とりあえずは落ち着いたようだ。
ストンと彼女は私の隣に腰をかけると私の肩に頭をのせてきた。
「なになに、今日は随分と甘えん坊さんじゃないさつき。」
「いーじゃない、たまにはこうしたい気分なの〜!」
ぷーとふてくされる彼女はとても可愛らしくて思わず頬が緩む。
それを計算してやっているとなったらこいつもう侮れない、女の子信じられない←
とりあえず、そうしてしばらく二人でそよそよと秋特有の少し冷たい風にあたっていると、後ろから誰かが来る気配がした。
でもさつきが気がつかないってことは多分あの子なんだろうなぁ、って。
「こんにちは黒子くん。」
「どうも、気がつくの早いですね。」
「っえ!?て、テツくんいつからそこに!?」
「ついさっきです。」
別に私は鷹の目も鷲の目も持っているわけではないのだが、彼の影の薄さというのはどうにも感じられなかったし、私の中では他の人と同じ感じがする。
まぁ、青峰くんとか?涼太とか?赤司くんとか?というかキセキの世代の人たちのあの独特なオーラとは違うけどさ…。
「休憩時間になったんですが、マネージャーさんの人手が足りないらしくって…。
すみませんが1軍のところの手伝いお願いしてもいいですか?」
「も、ももももももちろんだよテツくん!ほらっ奈々も!」
「お、おう…。」
黒子くんの言葉をきくや座っていたベンチから即座に立ち上がって私の手を引っ張るさつき。
…本当に黒子っちのことが好きなんだなぁって、ちょっと微笑ましかった。
だが、さつきと一緒に体育館へと向かおうとするとなぜだか後ろから引かれるような感覚があった。
「っとっと…?」
後ろを向けば、私の腕を掴む黒子くんがいた。
「すみません桃井さん、少し松木さんとお話がしたいので、お借りしてもよろしいですか?」
いつもあまり顔に表情が出ないのでわからないが、どことなく真剣な空気を悟ったのかさつきはコクリと無言で頷いてから私に「じゃあ用事が終わったらおいでね!」と言葉を残して体育館へと去っていった。
「…すみません、折角手伝ってくださるといっていただけたのに…。」
「いーってそんなこと!さつきがいれば大丈夫でしょ!」
さつきが行ったのを見て彼はとたんに眉尻を下げる。
申し訳ないときにはこういう顔をするらしい。
…怒ったときは眉尻あげたりするのかな…?
怒った黒子っち怖そう…←
立ち話もなんだし、と思い私は先程までさつきと座っていたベンチに座るように彼に進める。
彼はぺこりと会釈をしてからベンチへと腰掛けた。
話をするということで、遠慮なく私も彼の隣に座らせてもらう。
黒子くんはまだ言おうか悩んでいるのかわからないが、うつむき、膝の上に置かれている握りこぶしを睨んでいた。
「別に、無理しなくても大丈夫だからね?」
というと、彼は苦笑を浮かべながらゆるゆると首を横に振った。
「いえ、言うと決めてここに来たので…。」
そして彼は決心したように口を開いた。