ブルーすかい。
□試合開始!
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ボールを制したのはやはり白チーム。
むっくんの身長はやっぱり反則級だ。
だがはじかれたボールを青峰くんがキャッチするとそこからゴール下へと走りだす。
それの早いこと早いこと。
あいつ普通に走ってるのとボールもって走ってるのと同じくらいなんじゃないかってくらい。
悪いけどスピード勝負では勝てない。
とりあえず外れることはないだろうけれど、ダンクを仕掛けていった青峰くんのフォローに入るためにゴール下に入ろうとするが、そこには既に黄瀬くんがいた。
「青峰っち外してくれてもいいっスよ!」
「アホ!んなことすっかよ!」
ガシャーンッと気持ちがいいほどに揺れるゴールリング。
先制点は赤チーム、その間5秒。
体育の時間では単なるお遊びだったのかなんなのかわからないけれど、桁違いの圧力に一瞬うろたえた。
でもなんだかこういうの久しぶりだなーって思うと逆にワクワクしてくるようにも思える。
試合の前の日は遠足の前の日の小学生のようにねることができなかったっけ。
と思い出に浸っていたが、もうすでに次の攻撃が始まっていた。
先制点は赤、ということは白からの攻撃、ボールは現在緑間くんの手にあった。
そして私たちの陣地のゴール下にはむっくん。
この攻撃の仕方ってこの時からもうすでに出来上がってたんだ、と少々感心する。
いつの日か話しただろうか、私は黒子くんを見失うということはなかった。
だから今現在もミスディレクションをしているであろう彼がどこにいるかどうかもわかっているし、次に緑間くんが彼にボールを出すだろうということも把握できていた。
バチィッ!
「なっ!」
だからこそ動けた。
緑間くんから黒子くんのパスコースに体を割り込ませ、ボールをカットする。
流石の黒子くんもそれには驚いたようで、後ろで息を飲む音が聞こえた。
生憎そこはハーフコートの線の上。
ニィっと私が笑うとしばし硬直状態に陥っていた緑間くんがハッと気がついた。
「黒子!奈々からボールを奪え!」
「えっ…。」
黒子くんが気がついたときにはもう遅く、既に私の手からもうボールはなかった。
そのボールは宙を舞い、綺麗にゴールリングをくぐり抜けた。
ゴール下でそれを見ていたむっくんも口をうっすらと開いて固まっていた。
「うっし、ナイッシュー奈々!」
「おーっ!ありがと青峰くん!」
ゴールを決めた私を見て青峰くんは笑顔でこちらに近づいてきて右手の手のひらをこちらに向ける。
私も同じように右手の手のひらを向けてパシンッと心地よい音を体育館に響かせる。
このことを知っていた赤司くんと緑間くんはというとまるで自分の子供を見るような目で微笑んでいた。
…なぜそんなに子供扱いされなければならぬ…私が本当は20歳だって知ってるのに…解せぬ。
「やっべぇ…鳥肌たっちった…。」
後ろを振り返るとそこには自分の体を抱きかかえるようにして立つ涼太で。
まるで尊敬をするような眼差しでこちらを見つめている。
「奈々って可愛い上に料理もできてそんでバスケもできるんスか!」
「い、いや、一応元バスケ部だし…。」
褒められて嬉しくないはずがなく、少々恥ずかしくなった私は頬を赤らめさせる。
涼太はそんな私を見てかぎゅーっと抱きしめる。
おい、てめ…ちょっとこっちみんな見て…!
「運動部の癖にあんなにおいしい料理つくれるなんて…将来いい俺のお嫁さんになれるっスね!」
「誰がお前のお嫁さんじゃボケェ!」
「つか黄瀬なんでお前が奈々の料理がうまいって知ってるんだよ!」
「えー、なになにー、黄瀬ちんも奈々ちんのご飯食べたのー?ずるーい。」
「紫原…っ!てめぇもか!」
お嫁さん騒動だの、料理の味どうして知ってるだの…。
「だあああああ!!!!!!!!
もう試合しようよ試合!!!!!!!」
「…奈々も大変ね…。」
「僕もそう思います…。」