ブルーすかい。

□家庭教師⇒モデル!?
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タクシーを使ったことで無事に9時までに集合場所に到着した。
運賃を私が払おうとすると黄瀬くんは「俺に払わせて欲しいっス。」とそそくさと払ってしまった。
…こいつ本当に中学生だよな?
まぁ集合場所には大きなワゴン車が数台と大きなカメラをセットしている人たちがいたのでまぁあの人たちだろうなぁ、と思っていた。
黄瀬くんが担当者なのであろう男の人に事情を説明すると「別にそんなことは気にしなくてもいい。」とその人は笑っていた。担当さんいい人や…!
そして改めて私を紹介してもらい、そのあとすぐに私はメイクさんであろう女の人にワゴン車の中へと連れて行かれた。





「黄瀬くん今回すごく可愛い子連れてきたわねー!」




ワゴン車の中にはメイクさんやら衣装担当さんやらがたくさんいてそりゃまー衣装もメイク道具もたくさんあった。
まぁ私はというと知らない綺麗な女の人に囲まれてかっちこっちに固まっているわけですが。
美容業界の人って綺麗な人多いですよね…怖い。
最初は街中を歩くカップル像を撮りたいらしく秋物のファッション雑誌の写真、ということで新作の秋モデルの服を着させて貰って、その服に合うようにメイクを施してもらう。
まー、プロの手にかかればそりゃぁ素材が悪かろうがなんだろうがキレイになるわけで。





「キャーッ!!!!何この子!!!化粧したら化けるとは思ったけどこんなに可愛くなるなんて!!!!!」




化粧が終わったあと、2人のメイクさんと2人の衣装係さんにぎゅーぎゅーと抱きしめられる。
あぁ、私幸せです、こんなにたくさんの美女に抱きしめられてもう本望です…!
まぁ変態顔を晒すわけにもいかず、必死にその変態顔を抑えるにあたって顔を真っ赤に染めてしまっていたらしく、「あら!褒められて恥ずかしくなっちゃったのかしら!そんなところも可愛い!」と再び抱きしめられたのだが。
そのあと先ほど用意していただいた衣装に着替えワゴン車から出るとそこには既に黄瀬くんの姿がありました。
男も多少化粧するとは言っていたけど、彼はほとんどすっぴんというかすっぴんでも綺麗な顔してるから化粧なんて必要ないと思うんだけどね。
でも私服姿の彼を見たことがないからか、制服以外の服を着ている彼を初めてみてドキッとしたのは事実だ。
そりゃ雰囲気違うし、ただでさえイケメンだし。
そしてふ、と彼が顔をあげこちらを見る。
黙って多少目を伏せていて哀愁漂うイケメンが一変、私を見た瞬間顔いっぱいの笑顔を浮かべこちらに走り寄ってくる様はどこからどう見てもわんこだ。





「奈々ちゃんんんん可愛すぎっス!!!!」





「…そりゃどうも…。」





走りよってきて私にぎゅーぎゅー抱きつく…そんな黄瀬くんを初めて見たのか担当さんや先ほど私に化粧をしたり衣装を合わせてくれた人たちは唖然としていた。
…なんすか、黄瀬くん、君仕事場じゃこんなキャラ見せてなかったんすかね…。
まぁ役者が二人揃ったということで時間通り撮影を始めることになった。
でもまー、初心者には変わりなく、カメラを向けられて緊張しないやからがどこにいるのか!
そんな私を見て黄瀬くんは何を思ったのか私の手をとって歩き始める。





「こうした方がいかにもカップルーって感じするじゃないっスか!」




まぁ確かにそうですけれど…。
でもその黄瀬くんの行為のおかげで多少緊張ほぐれたし、カメラを意識することはなくなっていった。
そのあとは昼前までファッション雑誌に使うようにまず一枚並木道で歩いている様子の写真を撮り、あとは黄瀬くんの特集ページ用に買い物をしているところだとか、お茶をしているところだとか色々と撮られまくった。
その間、常に彼が初心者の私をリードしてくれて非常にやりやすかった。
さすがモデル、慣れてるなーなんて思ったり。
一旦お昼休憩をとってからそのあと場所を変更して再び撮影をするらしい。
メイクさんが用意してくれたサンドイッチをありがたくいただきもきゅもきゅと食べているとちょっとオネエっぽいカメラマンさんに「この子リスみたいかわいい!」なんて言われてバシャバシャ写真撮られた。
そりゃほっぺに物詰めてますけど…口の中にいっぱいおいしいもの入れるとなんか幸せな感じ味わえるじゃん…癖なんだよ…。
そのあと黄瀬くんが後ろから抱きついてきて「俺の奈々ちゃんそんなに撮らないでください」とか怒ってるし。つか俺の奈々ちゃんってなんだよ俺のって。
まー、お昼休憩も終わり車に乗り込んで次なる場所へと移動した。
なんだか担当さんが運転している車に乗り込ませていただいた。





「そういえば奈々ちゃん、今日は涼太に俺へ電話しろっていったの奈々ちゃんなんだろ?まだ若いのにしっかりしてるなー。」




車の中に乗り込むと思い出したように担当さんは笑顔でそう言ってくれた。





「いえ、そんなことはありませんよ。当然のことじゃないですかー!」





「その当然のことを涼太はできないからねー、まったく奈々ちゃんを見習って欲しいよ。」





「それは黄瀬くんが子供なだけですよー!」





「ちょっと奈々ちゃん!そういうのよしてほしいっスー!」




なんてわいわいと会話を弾ませた。
というか黄瀬くん…連絡はこれからしっかりとしなさい…!
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