ブルーすかい。

□専属家庭教師です
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そして私は彼らにこれからの予定について説明をした。
まず、これから交代で私が彼らにマンツーマンで勉強を教えること。
場所は私の家だということ。(これに関しては皆「夜遅くまで教わると申し訳ない気持ちになるから」と賛成してくれた)
最初に30分間程度時間をとって基礎問題集をといてもらう。
そしてわからないところを私と一緒に考えながらやる。
そして最後に簡単なまとめテストを行って合格点に達したら終了、という勉強方法にすること、など。
…最初の方は頑張ったご褒美みたいなの用意しておかなきゃちゃんとやりそうもないけどねこの子達。




「んで、今日は俺の番なんだ〜。」




「そう、そんで、明日は黄瀬くんで、明後日が青峰くんね!」




ちゃんと部活後時間空けておくのよ〜!と先生みたいなことをいうとみんなもはーいと返事をし…てくれない奴がひとり。





「青峰くん、わかった?」





まぁ、こんなノリについてきてくれるとは思ってなかったけど!
でもちょっとおねーさん悲しいぞ!
とりあえず途中まで一緒に帰ろうということになって、こうして三人で歩いているわけだが、傍から見たら私と彼らの関係ってどう映ってるのかな。
私が彼の前で仁王立ちをして行く手を阻むと、しぶしぶ「おう」と短く返事をしてくれた。
うむうむ、素直な子は好きだぞ!





「じゃあ、また明日ね!むっくんいこ!」




とりあえず青峰くんと行先が分かれる場所まできたので、彼から離れてむっくんを手招きしてそばまで呼ぶ。
黄瀬くんは今日モデルの仕事があるとかで、これからスタジオへ行くそうだ。
…まじでモデルなんだなこの人。





「紫っち!奈々ちゃんに手出したら許さねっスからね!」





「はいはい〜。」





…むっくんにすら適当に扱われてる黄瀬くん…なんて不憫な子…!
そんな彼は結構時間が押していたらしく私たちと分かれると走り去ってしまった。
青峰くんはくるりと向きをかえて大きなあくびをしながら家路をたどる。
そんな彼らを見送ってからむっくんの斜め前を歩き道を教えながら歩く。
かたや140センチの私ともうすでに190後半くらいあるむっくんが並んで歩いているとそりゃあ人目を引くだろう。
家の周りは比較的人通りが少ないほうだが、擦れ違う人は必ずと言って良いほどこちらを見る。
…いや私も逆の立場だったらみますけどそりゃ…。





「ねぇ奈々ちん〜。」




あと少しで家につく、というところでむっくんが小さな子供のような目をしてこちらを見てきた。





「なぁに?」




「ご褒美ってなんなの〜?」




どうやら先程から彼はずっとそれが気になっていたらしく、そのことばかりを考えていたようだ。
ご褒美作戦は成功どころか、大成功かもしれない…?





「むっくんが勉強頑張ってから教えてあげる〜。」




「えぇ〜。」





なんだかこの子と話していると自分の話し方までもがゆっくりになってしまう。
聞けばわかるがこの間延びした独特な話し方を聞いていると動作もゆっくりになるし、時間がゆっくり進むような気がする。
まぁ、むっくん自身ゆっくり動いてるつもりなんだろうけど、手足が長いため私からしたらそこまでゆっくりと動いているようには見えない。
たしかに歩数は少ないかもしれないなぁそう考えると。
でも歩幅が広いから、彼の一歩が私の三歩くらい。
…小さな子供とお父さんの感覚だなこれ。
少しの間「ご褒美なに〜?」「秘密〜。」のやり取りを繰り返してやっと家についた。
まぁ、やっとっていうほど時間もかかっていないのだが。
家の鍵を差し込み扉を開くとむっくんは「おー。」と感動したような声を発した。




「奈々ちんの匂いする〜。」




そりゃ私の家ですからね!
しなきゃやだよしなきゃ…。
おじゃましまーすなんてちゃんと言ってくれてから彼は玄関で靴を脱ぐ…。
…この子靴のサイズ何センチなの…この革靴特注でしょ…やばいよ…私の二倍くらいありそう…。
私がひとり暮らしだと知ってたからか、彼はのっそのっそとリビングへと入っていった。
そしてソファに座るように指示をし、私は飲み物をもってむっくんの隣に座る。





「よっし、じゃあ始めるぞむっくん!」




バッとあらかじめ私が用意しておいた問題集のコピーを彼の目の前に置かれている机に広げる。
今日は比較的自分が得意な数学から教えることにした。
このあとかなり苦労することになるのだが、まぁ最初からわかりきっていたことだった。
…というか最初からちゃんとできるなら赤司くんが私に彼らの家庭教師をやれなんて言わないしね…!
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