ブルーすかい。

□帝王との勝負の行方
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「大ちゃんにキスされたーーーーっ!?!?!」




「シーッ!さっちゃん声でかいって…!」




次の日。
朝は黄瀬くんが来るよりも早く家を出て、そして朝練をするために体育館の整備をするさっちゃんを手伝う。
そして、朝練も滞りなく終了し、そのあとの女子更衣室で昨日のことを相談することにしたのだ。
それを話したあとの反応が冒頭の叫び声なのだが。

さっちゃんの口を押さえてから人差し指を私の唇へとあてがい彼女を黙らせた。
特にこの部屋が防音というわけでもなく、この部屋の前を誰かが通るという可能性もあるので、あまり大きな声で話すと運悪くその通った人にこの話が聞こえてしまうかもしれない。




「だ、だっ、でも奈々ちゃん…だ、大ちゃんって今まで恋愛のれの字もわかんない人で…というか単なる変態で…。」




「…わかってるよそれくらい…。」



平然と教室でエロ本読むわ、巨乳の女の子見ると視線がそちらに動くわでもうそんなの見ていればわかりきっていた。
そういえば昨日黄瀬くんにも確かピュアな癖に変態とかいわれてた気がする。
さっちゃんはやれやれ、とため息をついて落ち着いたのか改めて私に向き合う。




「あのね、本当は話すつもりじゃなかったんだけど…。」



と、さっちゃんが妙に真面目な顔をして話し始めるので、何かあると感じ私も真剣に彼女の話に耳を傾ける。
それは案外耳に慣れたお話で。
実はこの夏に行われた全中で青峰くんはバスケにあまり本気で取り組まなくなったようだ。
ということはもうすでにグレ峰になっていたということで…。
実はその辺はよく知らなくて、はっきりいって今の今までまだぐれる前のピュア峰のままなのだと思っていた。
だから彼女の話を聞いてちょっと驚いた。




「だけど、奈々ちゃんが来てからちゃんと部活にも顔を出すようになったし、部活もそれなりに真面目にやるようになったの。
 だから私も青峰くんが奈々ちゃんに特別な感情持ってるとは最初から気がついてたんだけど…。」




そして再び深いため息。




「早速手を出してくれちゃうなんてね…。」




「…あ、はは。」




それに関してはもはや何も言えまい。
私は苦笑いを彼女に返す。
確かに見た感じ、青峰くんは今までずっとバスケバスケで恋愛なんてしたことがないだろう。
一方の黄瀬くんはこれまで何度となく恋人つくってそう…というか見た目からして軽い。
でも結構一途らしく、惚れたらとことん惚れるタイプらしい。
…さっちゃんの情報力はなめてはいけない。
そこでさっちゃんの顔を見るとなんだかニヤニヤしている。
どうしたの、という意味で首をかしげると彼女の顔はすでに崩壊寸前だ。




「いやぁ、奈々ちゃんと大ちゃんが一緒に歩いてるのってほら、テスト勉強の時帰り一緒に帰らせたでしょ?そこで見ててなんかお似合いだなぁなんて思って!」



「えっあっ、あっ。」



もはやそこまでいわれると何も言えない。
自分の顔が真っ赤になるのが体温でわかる。
それを見てさっちゃんは私の頭を優しくなでながらなだめてくれる。
あんなイケメンとお似合いだなんていわれてうれしくない訳がない。
というかさっちゃんの中ではもう黄瀬くんという選択肢はないのね…マネージャーに見放される黄瀬くん…不憫!

そういえば、まださっちゃんに聞いたことがないけれど、確かめていないことがあった。




「そういえば、さっちゃんって黒子くんのことが好きなんでしょ?」




「っぶ!?」




よほどびっくりしたのか、彼女は私をなでる手を止めガタンッと私から身を引いた。
そして顔を真っ赤にして口をぱくぱくしている。
もう反応を見れば簡単に察することができますよねこれじゃ。




「な、なんでそのこと…!」




「いや、見てればわかるから…。」




本当は漫画で知ったんですけれどね−!?!?!?
でもさっちゃんは見てて本当にわかりやすいし、というかアタックしてるさっちゃんとか、黒子くんと話しながらちょっと顔を赤らめるさっちゃんとかかわいいですマジで。
こんな風に女子トークができるなんて昔は思ってなかったから、なんだか楽しい。
…というか昔はなんていうか…女子トークだったけど、男が話題に出ることなかったもんな、あのメンバーじゃ…。
お互いに顔を見合わせてからプッと吹き出すと、どちらからともなくケラケラと声を上げて笑った。




「じゃあお互い、いい恋愛できるといいね!」




「うんっ!」




やっぱりさっちゃんはいい子だ。
というかこの世界の子たちは本当にいい子だと思った。
い、いや、中には赤司くんとかいう怖い人もいるけどね…!
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