ブルーすかい。

□好敵手
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ナイスタイミング!!!でやってきたのはガングロ!いや、あの救世主!
赤司と私が異様な距離で会話をしているのが見えて声を掛けてみたとか。
なんだか赤司くんから舌打ちが聞こえた気がしたんだけど気のせいだよね、う、ウフフ。





「やぁ大輝、ちょうどいいところに来たね、僕は今から外せない用があるんだ。だから代わりに大輝、奈々を家まで送ってやってくれないか?」




出来れば僕が送っていってやりたいんだけどね。と肩をすくめる赤司くん。
い、いやいやいや、さっきまでそんなキャラじゃなかったでしょえっ!?
そんなきょどっている私は目に入っていないのか、青峰くんは一つ大きなあくびをした。




「別に構わねぇよ。」




結果、私は青峰くんと帰ることになったのである。




「や、やー、なんかごめんね、今日までも送ってもらっちゃって!」




「いや、さっきも言ったけどこれくらい別に構わねぇから、つか今日おまえ部活行ってからなんかおかしかったし、考え事してて事故りましたーじゃ洒落にならねぇしな。」




という彼の言葉に緩くほほえむ。
不器用な感じなのに、本当はちゃんと見ていてくれてそれを気遣ってくれる。
本当に彼は優しい子だ、息子に欲しいわぁ…。
まぁ、彼にも心配かけたことだし、何で悩んでいたのかを彼に説明をする。
いや、実際は私が誰かに話したくて仕方が無かっただけなんだけど。
こう、人に話すと楽になるじゃない?




「確かに、ちっと機嫌悪かったかもなアイツ。」




「うん、私的に黄瀬君が心配で声かけたんだけど…妙によそよそしくって…。
 はぁー、なんか気がつかないうちにしちゃったのかなぁ…?」



素直に話を聞いてくれる青峰くんの背にグリグリと頭を押しつけるとウゼェとかいいながら突き放された。ひどい。




「おまえ悩みすぎなんだよ、ハゲんぞ。」



「なっ…!は、ハゲないからァ!」



彼はやっぱり不器用だけど、優しいなと思った。
時たま傷つくけど、それでも私のことを思っていってくれるんだなと思う。
…たぶん慰めたいんだけど言葉のレパートリーが少ないだけだと思う、そう信じたい。てかそうであってほしい。
二人で笑いながら帰っているともうすぐ私のマンションに着く、という所だった。

誰か、マンションから出てきた。
だれ、だろうと見てみるとそれは私たちのよく知る人物。
そして今話題に上がっている金髪だった。




「き、せくん。」




その声でこちらに気がついたのか、彼はゆっくりとこちらを見る。
そして、また、先ほどの苦しそうな、それでいてイライラしていそうな表情をこちらに向ける。
だが、今回ははっきりとした理由付きで、だ。




「…ははっ、なんスか、なんなんスか。あんた等付き合ってんスか。わざわざ俺に見せつけてんスか。」



自傷気味に儚げに笑う彼を見て、胸が痛んだ。
そういえば、彼は私がこちらの世界にきた一日目に私に想いを打ち明けてくれていたのだ。
それがどうだ、私は彼頑張りをわかっていたはずなのに、青峰くんとばかり仲良くして…。
私だって恋をしたことくらいはある。
それが叶わない恋だと分かってからも頑張るっていうことがどれだけ辛いかということも。




「何言ってんだおまえ、俺と奈々が付き合ってるわけないだろ?」



私が何も言わないとみてだろうか、青峰君が私の代わりに答えてくれた。
それがますます気に入らないのか、何なのか分からないけれど、彼はカツカツと青峰くんに歩み寄り、ギッと今まで見たことのないくらい恐ろしい顔をして睨む。
その顔を見た瞬間ゾクッと、確かに寒気が走った。




「へぇー、じゃぁ青峰っちは奈々ちゃんのことは好きじゃないんスね?
 そんなに悠長に構えてられるってことはそういうことっスよねぇ?
 まさか奈々ちゃんに好かれてる自信でもあるんスか?」




確かに、寒気は走ったのだが。
彼の口から溢れ出たのは、単なる嫉妬心の塊だった。
と、いうと、今日部活中、機嫌が悪かったのも、今こんな顔をしてるのも…。
…全部、私と青峰くんが仲良くしてたから…!?
それに気がつき私は彼らを止めようと決意するが、先ほどの黄瀬くんの言葉への返答が青峰くんの口から出ていない。
何をやっているんだ、さっさと言い返してやれ、とパッと青峰くんの方を見ると…。




す、すごく悔しそうな顔をしてらっしゃるー!?!?!?



い、いや、だってこんな、シリアスな展開の中で私だってこんな、楽観的でいちゃいけないのわかってるよ!?
で、でもね、これってあれでしょ?「私のために喧嘩をするのはやめて!」ってあの落ちでしょ!?
その二人に割って入ってからその言葉をこぼしたあとのその場の雰囲気を頭の中で想像し、これやったらアウトだと首を横に振る。
そして今しがた青峰くんの隣にいた私は目の前にいる黄瀬くんにグイッと腕を引かれた。
そしてそのあとは当たり前のように彼の腕の中へすっぽり。
不安になって黄瀬くんの顔を見ると、先ほどと全くが雰囲気が変わっており、私にとてもやわらかい笑みを浮かべてくれた。
思わずドキッとさせられてしまった。
と、というか正気にもどって松木奈々!
このこたちは中学生よ!
私なんて本当は20歳のババアよ!?
6歳も違うのよ!?ンン!?
顔を真っ赤にしながら葛藤する。
目の前を見ると、先程まで隣にいた青峰くんが不安げにこちらを見てくる。
その視線を受け取ったのか、黄瀬くんはグッと先ほどよりも私を抱きしめる腕に力を込める。
そして息を吸ったと思ったら、次の瞬間とんでもないことを言ってくれやがった。




「俺だって馬鹿じゃねぇんスよ、バレないとでも思ったんスか?バレバレっスよ青峰っち。…さっきも言ったスけど、青峰っち悠長に構えすぎなんスよ、そんな中途半端な気持ちなら…




奈々のことは渡せねぇよ!」
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