ブルーすかい。

□糖分摂取
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「…テストやめ!後ろから解答用紙だけ集めてこい。」




「…ふぅー。」




こんな、もんかな。
チラリと横を見れば彼も満足そうな顔をしているし、解答用紙を見ればほぼ解答欄が埋まっている。
これは結構期待できそう。
後ろの席なのでとりあえず、自分の列の人の文の解答用紙を集めていく。
そして最後に集めた分は先生に提出。
グッと伸びをすれば数学を最後に5科目の課題テストが終わった。
それにしても1科目40分だから午前中に全部やっちゃうって…結構詰め込んだなぁ…。
まぁ、高校に行けば普通に65分授業とかやってるから、まぁこれくらいは普通か。
席に戻ってから隣を見て、互いに顔を見合わせる。
今回のテストはかなり自信があるようで青峰くんは私にピースサインを向けてきた。
もちろん、私もそんな彼と同じような動作を返した。
んで今から昼休憩をはさんで部活なんだけど…。





「青峰くん。」




その前に、と彼を呼び止める。





「あんだよ。」




「これ。」





ちょうど帰るしたくをして廊下に出ていこうとしていた青峰くんを引き止めて私は手に持っていた紙袋を彼に突き出す。
彼も今朝見たそれだと気づき首をかしげてそれを見る。





「頭使ったら、甘いものっていうでしょ!シュークリーム作ってきたの。よかったらどうぞ!」




あと私の授業に付き合ってくれたお礼、とはにかんでいえば彼も最初こそ目をパチパチしてその紙袋と私を交互に見ていたわけだが、そのうちうっすらと口角を引き上げ紙袋を受け取ってくれた。





「ありがとよ。」





ニカッと笑う彼の笑顔は凝視するにはまぶしすぎて、少し私は目を細めた。
その紙袋を彼は廊下側の私の席の上に置きさっそく中身を拝見するようだ。





「つかくれるのはいいんだけどよ、ちゃんと食べられるんだろうな、さつきのみたいだったらゴメンだぞ。」




「あー…さっちゃんお料理アレなんだっけ…。」




一応、「下手」という単語は出さずに話を進める私たち。
そのあいだにも保冷剤を入れていた袋をどけられ、そしてその中に入っている白い箱を開けられる。
そこには上にキャラメルソースがかかったシュークリームがひとつ入っていた。
結構自信作が出来た、というか今まで作った中で一番上手に出来たかもしれない。
たまたま家の中をあさったらシュークリームを作れそうな材料があったので持っていくものをシュークリームにしようと思ったのだが。
青峰くんって見るからに甘そうなの嫌いだからカスタードクリーム少し甘め控えめにしたんだけど…。
そんなシュークリームを見て彼は「おー、すげー。」と素直に感動してくれていた。
それはそれでなんだか照れくさくて私は頬をポリポリ掻いて少々照れ隠し。
きっと今顔赤いはず。
そして次の瞬間事件は起きた。




「あんれー、峰ちんと奈々ちんじゃん、どうしたの。」




「あ、紫原くん。」




そこに現れたのは日本人離れした巨体を持つ紫原敦であった。
彼はいつものマイペースなおっとりとした話し方でのっそりとこちらに近づいてくる。
そして彼は青峰の手元にあるものをちらりと見てから目を輝かせた。





「何それうまそう、もーらいっ。」





「「あっ。」」




パクン。


私たちが静止しようとした時にはもうすでに遅く。
先程まで白い箱の中に入っていたシュークリームは紫原くんの大きなお口の中へ。





「うんまー、なにこれ奈々ちんが作ったの?また作ってー、また食べたいー。」




そしてそのシュークリームを食べた張本人は私の作ったシュークリームがお気に召したようで私にのしかかってくる、お、重たい。
ふ、と気がつくと、隣から何やら殺気めいたものを感じた。
少し顔を青ざめさせながら隣を見ればやはりそこにいるのは青峰くんで…。





「おいてめぇ敦、今食いやがったな。」




首に青筋を立てて彼はたいへんご立腹のようだ。
…そんなにシュークリーム食べたかったのかな…。
私にのしかかる紫原くんを気を抜いたら殺しかねないような視線で睨む青峰くん。
その視線が気に食わないのか、紫原くんはむっとした表情でにらみ返す。





「なんなの峰ちん、そんなにあのシュークリーム食べたかったの、つーか、峰ちん甘いもん嫌いじゃん。」




やっぱりそうだったのか、やっぱりシフォンケーキとかの方がよかったかなぁ。
私が何か論点のずれたことを考えていたことが悪かったのかなんなのかわからないけれど。
青峰くんははぁっと大きなため息をつくと教室の壁をガンッと足で強くけってから無言で教室を立ち去った。





「なんなのアレ…奈々ちん、峰ちんなんて放っておいて一緒にご飯食べ行こー。」




「ごめん、紫原くん、ちょっと私追いかけるわ。」




「えっ、ちょっ奈々ちん!」




気がついたら私は駆け出していた。
だって、なんだかあんなの…。




「ほうっておけないじゃん。」
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