ブルーすかい。

□糖分摂取
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「…よし、出来た!」





またこちらの世界に来てから夜をひとつ、越した。
もしかしたら目覚めたら自分の世界に戻ってるんじゃないかな、って今になって思い始めたけれど、まぁそんなのどうでもいっか、みたいな。






「おはよっス奈々ちゃん!」





今を楽しめば、ね!




*****************





「おはよー!」




「昨日勉強したー?」




「別に俺自分の実力知りたいから勉強なんてしねーしぃ?」




教室へと到着すれば、ガヤガヤとあちらこちらから声がする。
今日はテストということで朝練もない、ちなみに放課後はばっちり部活らしいが。
今日はカバンとは別に紙袋に入れて持ってきたものがある。




「喜んでくれるかなぁ…?」




それは普段勉強をしないバスケ馬鹿に対するちょっとしたプレゼント。
紙袋の中を覗いてからフフッと笑う。
一般的に私は家事全般、オールオッケ、むしろ任せろばっちこいな感じの人。
運動もできるし家事もできるしでずるいだって???ダァホ、違うんだよ、なんでも出来すぎても意味ないんだって!
運動ができなくて周りにちやほやされるとか!
料理ができないけれど彼のために一生懸命作って手がばんそこうだらけになっちゃったとか!
そんなドキドキイベントは私には無縁だったっつーの!
ちょっと嫌な事を思いだし、先程の微笑みは一転小さくため息をつく。




「ほんとお前って見てて飽きねぇよなぁ、コロッコロ表情変わってるし、十面相かよ。」




「うわっ!」




ボスッと頭の上に大きな手が降ってくる。
後ろを振り返ると青峰くんが「はよ。」と声をかけてきてくれた。
なんだかそんな何気ない言葉が嬉しくてたまらず私は笑顔で挨拶を返す。




「つかその紙袋の中なに入ってんだよ。」



先ほど、私がこの紙袋の中を見ていて笑っているのを見られてしまったのか、彼はこの中身がたいへん気になるご様子。
私の手を振り払って今にでも中に入っている白い箱の蓋を開けられてしまいそうだ。
というか無駄に腕長い!ずるい!
だが今これを彼に見られるわけにはいかない。
これはテストが終わってから渡すことに意味があるのだ。





「だ、だめだって!ほら!そんなことより勉強はどうなの!できたの!」




無理矢理に話題を切り替えようとすると、彼は不敵な笑みを浮かべた。
…ま、まさかあのあと何も勉強してなくてんで、寝たら全部忘れたとか…そんなお決まりなセリフとかないよね…。
少々不安になりそんな彼をじっと見つめていると、目の前にぐっと拳を突き出された。





「大丈夫に決まってんだろ、任せろ!…数学だけ。」




…この、安心していいのか、安心しちゃだめなのか微妙な言葉は…。
でもま、私が教えた数学だけでも、彼ができると自信をもてたのはいいことだ。
そんな彼にニッと笑いかけて突き出された拳にゴッと私自身の拳も合わせる。





「んじゃ、お互い、悔いの残らないように頑張ろうぜ!」




めざせてっぺん!と私が人差し指を天井に向かって突き出すと「赤司超えるとか無理だろ。」とどこか諦めた様子。
あぁ、そういえば赤司くんがいた。
…彼、負けたことないんだっけ…?
そして私は思いついた。とてもとても簡単な”勝負”を。
悪どい笑い方をしていれば今しがた朝のSHRをやるために教室に入ってきた担任にぎょっとされ「だ、大丈夫か松木…。」なんて言われてしまったので営業スマイルなるものを浮かべ、無言で頷いておいた。
初日のあの青峰くんを黙らせた事件以来、このクラスメイトたちは機嫌の悪い私、または怒っている私に近づくと何が起こるかわかったものじゃないので、それなりの扱いを受けていた。
もちろん、今も誰ひとりとして目を合わせてくれない。
ひっどいなー、別に怒ってるわけじゃないのにぃーぷんぷん☆
そんな私の隣の席で引きつった顔をしてこちらを見てくるやつがいたのでなんとなくムカついて肩パンをしておいた。
別に女なんぞに肩パンされても痛くないでしょう!ふんっ!
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