ブルーすかい。

□青い青春
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体育館へと向かうとすでにそこには赤司くんと黄瀬くん、緑間くん黒子くんと他の一軍の人たちの姿があった。
私はしばらくさっちゃんの指導の下マネージャーの仕事を勉強するため、一軍にいさせてもらうことになった。
…というか黒子っち影薄いなんて言われてたけど、私にはそう感じない。
普通に視界の中にいるし、いきなり目の前に表れたなんてことはない。
…私がおかしいだけなのかなぁ?
そしてすぐに朝練というなの軽い運動が始まる。
パス回しからシュート練習と朝は個人練習が主なようだ。
あと体慣らしが、目的なのかな?
3Pを打っている緑間くんを見ていると本当に吸い込まれるようにボールが綺麗にゴールに入る。
思わず見とれてしまった私。
だって、あまりにも綺麗だったから。
漫画と全く一緒なのかなぁ…と内心思っていたが、もしあの漫画の内容と変わってしまったら?
生憎、最近はまりだしたので漫画は全巻持っていないが、誠凜が秀徳に勝って、緑間くんがお好み焼きかぶった当たりまでは知ってる。
それ以降は知らないからどう物語が進行していくのか分からないが…。
もし私が関与してしまったお陰で物語が変わってしまったとしたら、それはそれでなんだか嫌な気がする。
でも、その、2年後まで私がこの世界にいるかなんてまだ分からないし、先のことを考えても、仕方ない…か。
そうしてぼけっとしていると、あっという間に朝練が終わってしまう。
いそいで選手たちにタオルとボトルを渡し、後片付けをして着替えにいく。
さっちゃんに「ぼーっとしてたけど大丈夫?」といわれたが、笑顔で「大丈夫」と答えれば「そっか」と笑顔を返してくれた。
美少女の笑顔ごちそうさまです。

制服に着替え終わり、教室に帰ろうとすると後ろからつんつんと頭をつつかれる。
なんだろうと思って振り返ってみるとそこにはむっくんがいた。





「奈々ちん奈々ちん、俺頑張ったからお菓子ちょーだい。」




だろうと思った。
私は鞄の中をごそごそ漁り、まいう棒を一本取り出す。
ちなみにまいう棒、クリームシチュー味。
なぜかしら家にあったのだ、どうせならむっくんに上げようと思って持ってきておいてよかった。
そのまいう棒を見た瞬間のむっくんの輝いた目といったら。





「奈々ちんそれ新作じゃーん。」




「えっ、そうなの?家にあったから持ってきたんだけど…。」





知らなかった、まさかもともとありそうなクリームシチュー味が新作だったとは。
私からうれしそうにまいう棒を受け取ると、早速包みをあけてもきゅもきゅと食べ始めるむっくん。…かわいい。
まぁ、まいう棒一本なんて一瞬で終わるんだけど。





「奈々ちんそれ勉強不足−、今度俺と一緒にコンビニにまいう棒の新作漁りいこ〜、いっつも黒ちんといってるから〜。」




彼の言葉に笑顔でうなずくとむっくんも笑顔で私の頭をわしわしとなでてくれた。
このでかい手…落ち着く…!
さっちゃんとむっくんと廊下でお別れし、私は自分の教室へと入る。
まぁー、あれですね、こいつ、わざとかな??????
自分の席に座ろうとすれば私の席で机につっぷして寝ている奴がいる。
言わずもがな分かるだろうけど、それはガングロです。




「青峰くーん、起きて−、起きるのです−。」



ゆっさゆっさと体を揺らしてみたが彼が起きる気配はない。
ふぅ、とため息をついてから本来ならば彼の席である席にストンと座って目の前で眠る青峰くんの姿を観察する。
中学二年生ならではのあどけなさが寝顔には残っていて、思わずほほえんでしまう。
まー、席を間違えたという線はなさそうだし、こいつももしかして私に構って欲しいタチか〜〜〜???と軽くあおるように心の中でつぶやくが彼にその言葉が届くことはない。
軽く口を開けてスーとそれはそれは気持ちよさそうに寝ているこいつをどうしたものかと悩む。
いすを引っ張って落としてみようかと思ったけれども、この非力そうな腕ではちょっと無理っぽい。
ゆすっても起きなかった点を考えれば机をがたがたしても置きそうもない。
これはもうあれしかない。




―――バシンッ!!




教室に響き渡る音、言わずもがな、私が青峰君の背中を思いっきり叩いた音である。
痛みにガバッと起きた彼はきょろきょろと驚いたように当たりを見回す。しっかりと背中をさすってる。
そして彼の目の前に仁王立ちした私は笑顔を貼り付けた顔をずいっと近づけてこう言ってやる。




「おはよ、青峰君(はぁと)」




彼の悲鳴が教室をこだました。






******************




今日から授業が始まると思いきや、今日も3時間授業で、明日から課題テストがあるらしい。
…およ、私課題テストの課題しらぬぞ。
イケメン先生が私を呼びこんな感じの出るからみたいなプリントくれた。
まぁ、見ればみんなに夏休み前に配られたであろう課題のプリントなんだけど。
私の場合は提出しなくてもいいらしい、やったね!
朝のSHRが終わると横から一つに束ねた髪の毛をぐいっと引っ張られた。
何事かと見てみればそれは青峰くんでですね。




「なぁ、昨日黄瀬と帰ったんだろ?」



なんのことかと思えば、そのことですか。
肯定の意味を表す様に首を縦に振ると、彼は盛大なため息をついた。
そういえば昨日さっちゃんもいろいろと渋ってたなぁ…と思い出す。
そして青峰くんは私に近くに来るように手招きすると私はその指示通りに彼の近くに立つ。
青峰くんは座っているけれど、立っている私とさほど身長が変わらない、というかむしろ青峰くんの方がでかい。
…足短いのかな?

彼はそっと私の耳元に口を寄せるとこういった。




「あいつと仲良くしすぎると周りの女が黙っちゃいないから気をつけろよ。」



…そして思い出した。
昨日の部活に行く前のあの女集団のことを。
ヒッと小さく私が悲鳴を上げれば青峰くんは「まだ何もされてねぇだろうな。」と私に確認する。
もちろん、まだ嫌がらせうんぬんなんか言われたとかないためコクコクとうなずく。
そうか、そういえばあいつデルモでモテ男だったな、と思考を働かせた。
今でこそ優しくしてくれたり仲良くしてくれるクラスの女の子たちだが、もしかしてこの中に黄瀬ファンがいて、そのうち牙を向けてくるかも知れない…。
昔のトラウマで女子という生き物に少なからぬ恐怖心を覚えている私はそのことを想像しただけで身震いする。
まぁそのトラウマというのは何度断っても私に告白してくるヤンデレまがいの女の子が原因なのだが。
言ってみれば昔の私はイケメンだった。んでまぁ、身長もそこそこ高かった。
何度か男に間違えられることもあった。髪の毛短かったし。
ふいに、手が伸びてきて私の頭のうえにぽんっと乗せられる。
青峰くんをそっと見れば彼は優しい笑みをこちらに向けてくれていた。



「大丈夫だ、なんかあったら俺が守ってやっから。」



…こいつは自分で何を言っているのか分かっているのだろうか。
ボッと私の顔が赤くなるとその反応で自分が何を口走ったのかわかったのか彼も口を手で覆って少し顔を赤らめていた。
…黒いからあんまりわかんないけど。
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