ブルーすかい。

□びっくり箱からこんにちは
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「おわ…ったー…!」




「お疲れ様奈々ちゃん!」




ぐっと伸びをすればさっちゃんが隣で笑顔を向けてくれた。うぅ…眩しいでござる。
お着替えを終えた私たちは体育館の点検を行っていた。
選手たちは更衣室へと着替えに行っており只今体育館は私とさっちゃんとほかの数人のマネージャーだけしかいない。
選手で溢れかえっていてあんだけさわがしかった体育館も、一気に人がいなくなるととても広く感じた。
はぁー、これで帰れるけど無事に一人で帰れるかなぁ…なんて思ってたらさっちゃんからナイスな提案。




「ねぇ奈々ちゃん!もしよかったらだけど私たちと一緒に帰らない!?」




その言葉に私は飛びつくようにOKの言葉を出した。
さっちゃんが嬉しそうに笑ってくれるから思わず私も笑顔をこぼした。
その笑顔をこぼした瞬間に、さっちゃんが再びこうぎゅっとだn




「もおおおおおおお!!!やっぱり奈々ちゃんかわいいっ!!!!お人形さんみたい!!!!」




お母さん、お父さん元気ですか。
私は今とても幸せです。…グヘヘ。

さっちゃんとほかのマネージャーさんときゃっきゃきゃっきゃと女子トークをしているとガラッと体育館の扉が開いて紫色の頭がひょこっと顔を出す。




「さっちん、帰ろ〜。」




そこにいたのは我が癒しのむっくんであった!可愛い!
さっちゃんは笑顔で「わかったー!」とむっくんに手を振り、先ほどまで一緒にお話していたマネージャーたちに別れを告げる。
私も同じように別れを告げるとさっちゃんについていった。
と、そこでむっくんとバチッと目があう。
いかにもうさんくさそうな、というかめんどくさそうな目で見られた。
な、なつかれてないとこんな目で見られるのね…!ひぃ…!おばさん辛いわ…!
そこで私は思い出したようにポケットの中をあさりお目当てのものを手のひらに閉じ込めるとむっくんの目の前に拳を差し出した。
当然、なんのことかわからないむっくんはコテンと首をかしげる。
その動作にさえ私は悶えそうになるのだからもう死んだほうがいいと思った、まる。
というかリアルでこのむっくんのコテンを見られるとは思わなかった死ぬ。




「手のひら、出して。これあげる、からお友達になってください…。」



私の行動の意図を言葉で理解したのか、むっくんはその大きなおててをすっと私の拳の下に差し出す。
そして私はその手のひらをそっと開くと、むっくんの手のひらの上にはコロンといちごみるくの飴がころがった。
決して小さくはないそれはむっくんの手のひらの上にあるととても小さく見えた。
むっくんはそれを見てから私を見て、それから嬉しそうに包みを開けて飴玉を口の中に放り込んだ。
カラコロと口の中で飴を転がすむっくんはやはり子供そのものだ。




「君、いい人だね〜。」




そういってむっくんは先程のだれきった表情とは一転、優しそうな顔をこちらに向けてくれた。
私とさっちゃんとむっくんは歩きながらお話する中で、むっくんは私の事を「奈々ちん」と呼ぶようになった。
ち、ちんってつけてくれた…!飴ちゃんひとつで…!
そうして朝職員室に呼ばれた時に先程の飴をくれた先生に感謝した。
(どうやらあの先生は私のことを学校に間違えてきちゃった迷子の小学生だと思ったらしい)

そうしてしばらく歩くと校門へとたどり着く。
そこには赤司を除いた残りのキセキのメンツが立ち並んでいた。





「ごめんごめん!話しながら歩いてたら遅くなっちゃった!」




さっちゃんはそんなみんなのところに駆け寄り両手を合わせて謝る。うむ、眼福である。
そんなさっちゃんの後ろをのっそのっそと歩くむっくんと一緒に私はみんなと合流する。
…のだが。




「奈々ちんって、なんか甘い匂いする〜。」




とむっくんに抱き上げられてすんすんとニオイを嗅がれたのは予想外だった。
そんな場面を見た黄瀬は「なちゃんがそんな高いところに上げたら怖がるっス!」やらなんやら言ってたけどむっくんはきっぱり




「だって、奈々ちん小さいから〜俺しゃがむの大変だし。」




とむっとして私を離そうとしなかった。
結局むっくんに抱き上げられながら帰ることになった。どういう状況コレ。
帰りながら事あるごとにむっくんは私の匂いをスンスン嗅いでくるし、それを発見した黄瀬はわぁわぁ騒いでるし、青峰はため息ついてるし…。




「紫原くん、奈々さんを下ろしてあげてください。」




という黒子っちの言葉でむっくんは渋々私を地面へとおろしてくれた、こんにちは地面、久方ぶりだね!

そのあとはさっちゃんと一緒にてけてけ歩いて楽しく談話したり、黄瀬が女の子達に囲まれたり、黒子っちがはぐれたりとなかなかに忙しい帰り道だった。

そうして皆とふざけながら帰っているとなんだか見たことのある道へと出てきた。
確か私の家はこっちである。
ということでここらで私はオサラバだ。




「じゃあ、私の家こっちだから、ここでバイバイだね!」




さっちゃんとほかのみんなに別れを告げるとみんな「また明日ー。」とか「またお菓子ちょうだいねー。」とかいろいろと声をかけてくれたのだが、一人例外がいたようだ。




「じゃあ、そういうことで俺も!」




とこちらについてきたのは。




「じゃあ奈々ちゃん帰ろ!」




黄瀬であった。
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