ブルーすかい。

□びっくり箱からこんにちは
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「え、えっと、新しくマネージャーになった松木奈々と申します!よろしくお願いしますっ!」


ぺこりとすればみんなてんでに「よろしくー。」とか「小さいねー。」とか声を掛けてくれた。誰だ小さいっていったやつ、前でろ前ぇ!!
…とまぁ、前座はこの程度にして…。

マネージャーの仕事はやっぱりつらかった、改めてあの黄瀬厨の親友パネェと思った。パネェ!
ドリンク作り、タオルの洗濯、ビブスの洗濯、ドリンクとタオルを分けたり…と、東奔西走して選手並みに汗だくになるだろう。
…まぁ私にとっちゃこの程度余裕だけどね!!!!!フッハハハハ!!!!
と内心ほくそ笑んでいると(ほくそ笑んでいるのレベルは遙かに超しているが)後ろから声をかけられた。




「飲み物をくれないか。」




そこにいたのは、カエルの置物を持っている緑間だった。
お、おぉ、マジでおは朝のラッキーアイテム持ってやがる…!
カエルの置物の名前は確かケロ吉だったか?
とりあえず、待たせる訳にはいかないので手元にあった夏場のために少々温まってしまった飲み物を緑間に手渡す。

よほど疲れていたのか、口をつけてから一気に半分程度まで飲み干してしまったようだ。
それから口を離してなにやら真剣なまなざしで飲み口をじっと見つめる。
…何か味がおかしかったりでもしたのだろうか?




「な、なんかあった…?初めて作ったからおいしいかわかんないんだけど…。」




心なしか不安になる。
まさか水の分量を間違えてめちゃくちゃ濃かったとか、逆に水が多すぎてめちゃくちゃ薄かったとかだったらどうしよう!?
ビクビクしていた私の気持ちが伝わってしまったのかしらないが、飲み口から視線を外した緑間は珍しくうっすらと口元に笑みをたたえて私の頭にぽんと手を置いた。





「いや、いつも飲んでいるものと味が違ったのでな…、その、いい意味で…。」



ツ ン デ レ き た ! ! ! !

あまりにも興奮すると顔が真っ赤になる私は、どうやら照れていると勘違いされたらしく、さらにきれいな笑みを見せていただいた。
お、おぉ、なんか緑間が優越感に浸っておるぞ…!
いっつもなんやかんやで周りからいじられてるからな、フォフォフォ。
っと、ふざけるのもこれくらいにして…ついでにタオルも渡しておこう、すごい汗だし…。
と思ってタオルを緑間に渡そうとすると誰かが横からそのタオルをひったくっていった。





「あー、あっちぃー…、」





いや、それは言動からわかるように青峰くらいしかいないのだが。
もう少しで緑間の手に渡るところだったので、私は緑間に、緑間は私に手を差しだしたままだ。
そしてなにやら青峰の機嫌が悪い。みてわかるくらいにむっそりしている。なんだおまえムッソリーニか。
そして極めつけにこれだ。




「奈々ちゃんんんんっ、俺にも飲み物ちょーだいいいい!」




どーんと後ろから乗りかかってきたやつが一人。
ちらりと視界の中に入り込んだ金髪と声で黄瀬だと把握する。
やれやれどこの大きな子供だと私はため息をつくと近くにあった別のボトルを彼に手渡す。
それを受け取れば彼も満面な笑みでボトルに口をつける。
そして一口飲んだ彼は目を見開く。
そういえばなんか緑間も同じような反応してたな、と怪訝に思う。
緑間はおいしいといってくれたのだが(遠回しに)実際はどうなのだろう、
ほら、緑間ってちょっと人とずれてるとこあんじゃん?!
ラッキーアイテムいつももってるし「人事を尽くす」とかいっつも言ってるし?????
まぁ、それはさておきドリンクの評判も気になる。
マネージャーの仕事なんて今までしたことなかったから少々どきどきである。
ボトルを見て、私を見て、またボトルを見て、黄瀬は数回その動作を繰り返すと最後に再びバッと私に視線を向けた。





「こ、これ作ったの奈々ちゃんっスか!?」




あまりにも顔を近づけてきたのでどうどう、と両手を彼の顔の前に突き出す。





「う、うん。そうだけど…まずかった…?」




「いーやっ!!!そんなことないっスよ!つかなに、これ別に違うドリンク材使ってるわけじゃないっスよね!?普段飲んでるのと違いすぎるんスけど!」




そんなに感動してもらえるとは思っていなかったので少々驚いた。
緑間も隣で軽くうなずいてくれている。
そんでもってやはり近くにいる青峰も興味があるようで私に飲み物を要求。そして彼も一口コクリとのどを動かす。
そして極めつけのこの驚いた顔。お、おお、なんか嬉しいぞ。ここまでみんなに驚いてもらえると…。
普通に作っただけなのになぁ…というか普段マネージャーさんたちちゃんと作ってるのかなぁ…と若干不安になった。
まぁ、そんなこんやで休憩時間となり、さっちゃんとお話ししたり先ほどの出来事から人目置かれるようになったのか緑間も微々たる変化だが私に話しかけてくれるようになった。ヨッシャ。
そしてそれがおもしろくないのか、どうも不機嫌なオーラをまとっているやつがここに二人。
なんだか玩具をとられた子どものような目をしている気がするのは気のせいなのだろうか。




「あ、あの、空気ものっそい悪気がするんだけど…。」



「ちょっと青峰くん!きーくん!どうしたの!」




さっちゃんもそのただならぬ空気を感じたのか、腰に手を当てて二人を睨んでいる。
う、うおおおおおおお可愛い子がやるとこれマジ可愛い!!!えっ、写真、写真いいっスか!!!!!
口を覆って悶えているも、目の前のシリアスムード引き寄せられ誰も気がついていない様子、ふぅよかった。

そんな二人はさっちゃんに問い詰められても「べっつにー?」の一言しかはっしなかった。
まぁ、理由はなんだかよくわからないがそろそろ休憩時間も終わるころだ。





「とりあえずあと練習時間少しなんだし、最後まで頑張ろうよ。えいえいおー。」




「松木その掛け声だとちょっと気が抜けるのだよ…。」





ひどいわ緑間くんっ!そんな言い方しなくたっていいじゃない!
なんて悲壮感にあふれた目で見ればなんともめんどくさそうな表情をいただいた、ありがとうございます、我らの業界ではご褒美です!!
みんなからボトルやらタオルやら受け取って、私は再び東奔西走。
水道に走ったり、洗濯機へと愛(洗剤)を注いだり。
結局初日のマネージャーの仕事は人手が足りないのもうなずけるほど忙しかった。
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