ブルーすかい。

□黄色と青と赤色と
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「そういえば、クラスとかってもう分かってるんスか?」


とてとてと私と黄瀬氏は通学路を歩き始めた。
頭の後ろで腕を組み、私に一生懸命話しかけてくる様は、なんと表そうか。
…あぁ、そうか犬みたいなんだ。


「まだ、分かってないんだよね。」


一緒に行こうと言ったはいいものの、私なんかがシャラデルモの隣を歩いてよろしいのだろうか。
少々不安になってちらりと彼をみやれば、「ん?」と笑顔を向けられてしまった、くっそうまぶしい。
気を取り直して思考にふける。
このシャラデルモがいるということは紛れもなく他のキセキもいるはず。
もしかしたら「なのだよ」もミスディレも「僕に逆らう者は親でも殺す」も「俺に勝てるのは俺だけだ」も「ひねり潰すよ」も実際にリアルできけちゃったりするのだろうか、と考えたところで再び私はにやける。
いや、これがにやけずにいられますかね。
でも一応ここ公共の場だし、隣にシャラデルモいるし、そっと口元を押さえる。そして少し冷静になる。
昔っからの癖で妄想するのは致し方ないと考えた私は、外でニヤけそうになるのを我慢するスキルを身につけていた。
そのスキルがまさかこんなところで役に立つとは!
再びちらりと隣を見やれば満面の笑みを向けられる。
というか、さっきから見れば確実に笑顔を返されてる、こいつ自分が見られてるのまさか気がついているのか…!?


「やー、しっかし、奈々ちゃんかわいいっス!こんな可愛い子がうちのマネージャーやってくれれば嬉しいんスけどね!」


という黄瀬の言葉に私はバッと顔をあげた。
…ま、マネージャーになれる…だと。
途中編入だし、確かにそりゃ部活を選ぶ権利はこちらにあるのかもしれない。というか昔私何やってたかしらないし、20歳OL時代には中学校っていうとバスケに明け暮れてたけど、こっちではそうとも限らないしね。
まぁ、入ることができるというならば入りたい。
その旨を黄瀬に伝えると彼はみるみるうちに笑顔になった。
まるでひまわりが咲いたみたいに…というかひまわりの花言葉ってちょっと怖いよね…「あなただけを見つめる」とかちょっと…ストーカーディスネ。


「奈々ちゃんが来てくれるなんて俺大歓迎スよ!じゃあ帰り迎えに行くんで一緒に体育館行こうっス!」


ニコニコと笑いかけてくれる彼にいやぁ、本当に優しいんだなこいつ、どこかのはさみ野郎とは大違いだぜ…とか思った。まる。

そうして黄瀬との楽しい登校時間は終わった。
彼は朝練があるとのことで「じゃあね奈々ちゃん!また放課後!」という言葉を残してその場を去って行った。
そんな黄瀬氏に私はぶんぶん手を振ってから職員室なるものに向かった。





…というか、職員室どこや…。

帝光中学校、なんか名前からして仰々しそうな学校だなぁ、とは思っていたけど、まさかこんなに広いとは思っていなかった。
下駄箱から入ろうにもどこが下駄箱かわからない、こんなことなら黄瀬氏に聞いておくべきだった。

…と、まぁ散策していれば結果的には見つかるわけで。
自分にあてがわれた番号の靴箱に靴を入れて持ってきていた上履きを履けばトントンとつま先で地面をたたく。

さて、と。じゃあさっそくお目当ての職員室に行きましょうかね…。







***************




案外職員室はあっさり見つかり、とりあえず入ったときに担任と名乗る先生から自己紹介をされ、私のクラスは4組だと、この時に知らされた。
後で黄瀬氏がちゃんと迎えに来られるように教えなくちゃな…とか思ったんだけど、よくよく考えたらあの子シャララデルモやった…近づけるかな?

と、まぁそうこうしているうちに、自分のクラスルームとなる2年4組の教室へと先生に道案内されながらやってきた。
果たして同じクラスにわかるような人はいるのか!
先に先生が入り、その後をついて行くようにして私もドアをくぐる。

当然のようにざわめく教室。
まぁ転校生ってなんか謎っぽいもんなぁ、昔私も転校生というものを見て興味津々だったよ、うんうん。
と、昔の思い出に浸っていたわけだが。
先生がちょっとだけ私がどこからきたのだけを説明し、それを聞いて、自分がどこからきたのかを知る。
いやぁ、だって自分のことわからないしぃ?
ま、昔自分が住んでいたあたりの中学校の名前を言われたから、そこまで苦労はしなさそうだが。
そしておきまりのこの感じ。
黒板に名前を書かれ、その名前の前で自己紹介。



「こんにちは、松木奈々と申します!これからえっと、半年くらいよろしくお願いします!」



と言ってからお辞儀をすれば拍手をみんなからもらう。
そんなクラスメイトにどんな子がいるのだろうか、と見渡した時にバチッと目があった。
いや、今自己紹介してたから私にみんなが注目しているのは当たり前、といえば当たり前なんだけど…。
違う、なにやらとてつもない視線を感じた。
それもそのはず、その視線をたどればそこにいたのは青髪のガングロ少年。

青峰大輝だった。

わ、わわわわわわ私に、睨まれてらっしゃる!?

そう、初っぱなから私は彼のご機嫌を悪くさせてしまったらしい。
いや、な、なにも、何もしてないですよ私!?
というかいま初めて会った、はずですし・・・!
アワワとまるで小動物が敵を見つけたような反応を教壇でしている私をよそに先生が更に追い打ちを掛けるように地獄の一言を申しつけた。




「松木、おまえの席は一番後ろのあの青い髪のやつの隣な。」




ヒィイイイェエエエエ!??????????

ちょ、ちょいまちセンセ、待ってよ待ってよ!?
この険悪なムードがわからないんディスカ!?
助けて、めっちゃ助けてと先生を見つめるも、「なんだ?どうした?」と綺麗に流されてしまった、そりゃないっすよ!!!!!

別に青峰が嫌いなわけでも恐いわけでもない。
だが、怒っている時の彼は別だ。
なんか、机壊しちゃいそう、シャーペン簡単にぽっきんぽっきん追ってそう、アアアア。

私が脳内フリーズしている間質問タイムとやらに入ろうとした生徒をたしなめる先生。
ぱっと見、結構いけてる感じの先生で年もまだ若そうだ。
まぁ、一言で言い表せばさわやか系男子。
その様子を見て少し落ち着いた私はスーハーと深呼吸をして教壇を降りた。

まぁ、降りて席に着けば、朝のSHRは終了した。
そこでまぁ先ほどの代わりの質問タイムというか何というか・・・
ていうか転校生って本当にこんな風に話しかけられたりするのね…うふふ。
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