Zzz

□秀徳高校バスケットボール部
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「宮地さんが幼子を連れてきたのだよ…!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


体育館にはいった第一声はそんな感じだった。
昨日の写真で拝見した緑髪の男の子。真近で見るとめっちゃでかかった、しかもめっちゃ下まつげ超なげぇ、前世らくだかよ。
でもよっしーとあんまり変わらないかな?つか幼子ってなんだ削ぐぞテメェ。
そしてなんだよその語尾…、そんな語尾のやつ初めて見たわ…。


「おー、名前さんじゃないっスか!」


「お久しぶりですね、名前さん。」


「うむ!元気にしてたか!」


「相変わらずっスね!!」


三年生と二年生は去年からお世話してるからそれとなくみんなとは顔見知り程度には仲が良い。
…顔見知り程度ってほとんど仲良くねぇじゃねぇかって?うるせぇ!黙ってろ!
だから私のことを全く知らない一年生たちはみんなキョトンとしてるし、よっしーが連れてきたからって真っ青な顔してこっち見てる…おいおい、ちびっこに恐怖する巨人軍ってなんかシュールなんだけど…。
ただ、その一年生の軍団の中で私を見た瞬間目を見開いた子がひとり。


「えっと…俺の勘違いじゃなきゃいいんスけど、宮地さん、その人ってあの…。」


「んだよ高尾轢くぞ。」


「ヒデェ!?」


声をかけただけで罵倒されるってなんなのよっしーどんだけ不機嫌なのそれともこれが通常運転なの?
周りの反応を見る限り、みんな笑ってるし、これが後者なのだと分かり少しホッとする。そうだよね、うちのよっしーは理不尽な怒り方なんてしないわよね…。
まぁ、目の前の彼も笑ってることだし、このチームは相変わらず仲が良いのだなと安心した。


「で、あの!」


「は、はい!」


隣でよっしーとお話してたと思ったらいきなり目の前にずいと顔を近づけられドキッとする。
うわああわあわわああああ近い近いってばちょっとまって、そんなに顔を近づけられたらあの!
そんな私の思いが届くはずもなく、彼はジッと私を見つめること10秒。


「やっぱり!あの時のお姉さんじゃん!」


パァアアっと目の前に繰り出される笑顔に早くもノックアウトされそうな私。
しかもこの子ちゃんと私が年上だってわかってくれてる、いいよ可愛いよ、そういうところも素敵…!
思わず涙しそうになったところをよっしーにベリっと引き剥がされる。


「ったく、いきなり顔近づけすぎなんだよお前。」


「え〜、いいじゃないっすか〜、それともなんスか?このお姉さん宮地さんの彼女さんだったり?」



「ばっ!て、てめ、!」


「ほらほら、高尾、そのへんにしてやれ、昔から名前さんが絡むとコイツすぐこうなるから。」


「うるせぇ木村!轢くぞ!」


「はいはい、その轢く道具貸すの俺じゃん。」


「ぐっ…。」


「やばい!木村さん優勢!宮地さんが劣勢にたったの俺初めて見た!」


「そうだなー、結構レアかもしんねぇなぁ。」


「っスよね大坪さん!ほら!真ちゃん今日のラッキーアイテムデジカメだったじゃん!貸して!」


「残念だったな高尾、もうこの光景はコイツにおさめてあるのだよ。」


「さっすが真ちゃん!あとで印刷しようぜ!」


「ッダアアアアアアアア!!!!!!!!!テメェらまとめてあとで轢いてやるから練習のあと覚悟しろよ!」


ギャンギャンと目の前で繰り広げられる光景にクスリと笑う。
やっぱりこのバスケ部好きだなぁって。


「ほらほら、そこまでにしとけお前ら。そろそろ練習始めないと監督くるぞ。」


パンパンッと手を叩いてその場を収める大坪くんはやっぱり主将というだけあって年下なのに貫禄がある。
落ち着いた物腰にがっしりとした体付きしてるから結構近くにいると安心感がある。
こういう子が将来の日本を引っ張っていくんだろうなぁ…、私何言ってるんだろう…うふふ。


「…そうだな、ほら、あとでゆっくり紹介してやるから名前はいつものとこで練習見とけ。」


「おっけ〜、んじゃみんな頑張ってね〜!」


よっしーにバフッと投げつけられたジャージをキャッチし、もはや定位置となりさがった舞台の上にあるピアノのいすを引きずりだしてそこへ座る。
冬の時の癖でジャージを羽織ってしまったのだがまぁいい、別に暑くないし。
そんな私をみて高尾くん…?が「彼ジャージっすか!宮地さんやりますね!」とかいうからまぁそりゃ笑顔でよっしーが高尾くんの頭に一発お見舞いしてた、イタソウ。

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