鴉が鳴いたら帰りましょ
□何処かでカラスが鳴いている
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「それじゃあ、頼んだよ。」
ニコニコと人好きのする笑みを浮かべる男、尾澤凱という男は、本当に煮ても焼いても食えない男だ。何でこんな男が政治家として不動の地位を築いているのか分からない。旧い付き合いだが、いや、だからこそなのか、油断できない。胡散臭い。こいつの、赤が混じった茶色の瞳が象徴するように判然としない。
仁は、尾澤凱という男をそう判じている。最も、この神谷仁という男の灼灼と燃える赤銅色の瞳は凍てついているし、その白磁の美貌が浮かべるのはほとんど冷笑なのだが。
「分かっている。」
「･････さて、夜明けを告げようか。」
事務的に返す仁に、凱はいたずらっ子のような笑みを浮かべる。これから楽しい遊びを始めるのだと言わんばかりだ。
「はっ、せいぜい殺されないように注意しな･････。どこぞのロマンチストに、な。」
「ああ、君みたいな奴かい？」