双恋

□story 05
1ページ/3ページ




「えー、改めまして・・・」
「「こちらはストーカーさん。仲良くしてあげてネ☆」」
「ちっがーう!愛音!神尾愛音です!!」

愛音の周りに群がるホスト部員は無遠慮にその少女を眺めた。

至って普通の可愛らしい女の子である。

「えーっと・・・」

冷静になってみれば凄い状況だ。

(私、今セレブに囲まれてる・・・!)

粗相でもしたら国外に追放されてしまいそうである。特に鏡夜先輩とか鏡夜先輩とか鏡夜先輩とかに。

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」

そう言って愛音の前に淹れたての紅茶を置いたのはハルヒだ。

ふわりと春のような笑顔を向けられ体の緊張が抜ける。

(やっぱりハルヒ大好きだー)

「ありがとー」
「いえ」

のほほん、醸し出す空気の柔らかさは女の子特有のもの。

(((可愛い!!!)))

春爛漫な頭の部員達だ。

「君が寝ている間に少しは光達から話を伺ったよ。いやあ、実に興味深いね」

そんな空気をぶち破ったのは言わずもがな鏡夜である。

魔王様降臨の予感に肩を竦ませる愛音だ。

「失礼だけどお年を伺ってもいいかな?」
「じゅ、じゅーなな・・・です」
「ほう。それは可笑しい。光馨、お前達が初めて出会った時、この方の年齢は聞いていたか?」
「えっと・・・」
「17歳だよ、確かにそう言ってたし。あの時のお姉さんと今の愛音は瓜二つ、というか全然変わってない」

鏡夜の質問に記憶を辿ろうとした光、その横で迷いも無く言い切った馨に少なからず光は驚いた。

「よく覚えてんね、馨」
「まーね」

初恋の相手ですから。心の中だけでそう付け足す。

「詳しく話を聞かせてもらおうか」

その時の鏡夜の笑顔は身がすくむ程に怖かったという。(ホスト部員後日談)



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ