双恋
□story 05
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「えー、改めまして・・・」
「「こちらはストーカーさん。仲良くしてあげてネ☆」」
「ちっがーう!愛音!神尾愛音です!!」
愛音の周りに群がるホスト部員は無遠慮にその少女を眺めた。
至って普通の可愛らしい女の子である。
「えーっと・・・」
冷静になってみれば凄い状況だ。
(私、今セレブに囲まれてる・・・!)
粗相でもしたら国外に追放されてしまいそうである。特に鏡夜先輩とか鏡夜先輩とか鏡夜先輩とかに。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
そう言って愛音の前に淹れたての紅茶を置いたのはハルヒだ。
ふわりと春のような笑顔を向けられ体の緊張が抜ける。
(やっぱりハルヒ大好きだー)
「ありがとー」
「いえ」
のほほん、醸し出す空気の柔らかさは女の子特有のもの。
(((可愛い!!!)))
春爛漫な頭の部員達だ。
「君が寝ている間に少しは光達から話を伺ったよ。いやあ、実に興味深いね」
そんな空気をぶち破ったのは言わずもがな鏡夜である。
魔王様降臨の予感に肩を竦ませる愛音だ。
「失礼だけどお年を伺ってもいいかな?」
「じゅ、じゅーなな・・・です」
「ほう。それは可笑しい。光馨、お前達が初めて出会った時、この方の年齢は聞いていたか?」
「えっと・・・」
「17歳だよ、確かにそう言ってたし。あの時のお姉さんと今の愛音は瓜二つ、というか全然変わってない」
鏡夜の質問に記憶を辿ろうとした光、その横で迷いも無く言い切った馨に少なからず光は驚いた。
「よく覚えてんね、馨」
「まーね」
初恋の相手ですから。心の中だけでそう付け足す。
「詳しく話を聞かせてもらおうか」
その時の鏡夜の笑顔は身がすくむ程に怖かったという。(ホスト部員後日談)
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