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□光end
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やってきたデート当日。着るものに悩んだものの待ち合わせには少し余裕のある時間、・・・にも関わらず光は既にそこに居た。

・・・意外である。

時間にルーズ、とは言わないが几帳面にも見えないもんね。

視線を携帯に落としたまま、光はこちらに気付いていない。

何をそんなに真剣に見ているんだろうか。

気配を消してひょっこり後ろから覗き込んだ。

“デートに最適レストラン特集”

「・・・・・・」

うん、見なかったことにしよう。

瞬時に空気を読んだ愛音だ。

「お待たせ」
「うっわ!!」

後ろから掛けられたら声に光の体は大袈裟に跳ね、携帯を取り落としそうになった。

「大丈夫?」
「あ、ああ・・・!」

パタンと閉じられた携帯は一瞬でポッケの中に消える。

「じゃあ行くか」
「うん」

何事も無かったかのように表情を切り替える光に思わず頬が緩んだ。

(全く子供なんだから)

貴方も同い年ですよ愛音さん。

映画は今話題の大人向けアクション映画だった。

なるほど、光にピッタリである。

「あ、ポップコーンだ!やっぱ庶民映画といえばこれだよネ!愛音、どれがいい?」
「うーん。・・・キャラメルポップコーン」
「えー。あれ、手がベタつくからキラーイ」
「む、じゃあ何でもいーよ」
「ひひ、うそうそ。おねーさん、キャラメルポップコーン一つ」
「かしこまりました」

光のペースに飲まれながらも無事ポップコーンを購入。

愛音は見逃さなかった。

注文を受けた店員の頬が染まったのを。

そうなのだ。学院の女の子は光のことをそういう(ホモ的な)目で見ているからあまり気にはならないが光はモテるのだ。

外に出るとそれを実感させられる。

なんというか、気に食わない・・・とか思う自分はどんだけ心が狭いのだろう。

その瞬間、フッと感じたのは視線。

後ろを振り返る、が見えるのは映画館に訪れた客の人混みのみ。

変わったことは何もない。

「愛音?どうかした?」

それに気付いた光が不思議そうに首を傾げる。

(・・・気のせい、かな)

「なんでもないよ」
「そ?」

心配する光に笑って見せ、指定の席へと腰掛けた。



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