ユウリ

□教室
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 教室で俺は、目の前のものに釘づけになっていた。
 ――俺の机の上にウエディングケーキが置かれていた――
 ちなみに、俺は男子校に通う平凡な中学生だ。彼女はいないから、少なくともこれから結婚する予定はない。いや、年齢的にできない。なのになぜ俺の机の上にウエディングケーキが置かれているのだろう。嫌がらせか?
「お―おはよ、健太。って、ウワッ!! 何この巨塔」
 ウエディングケーキです。生クリームといちごがのっている巨塔はありません。
「あーそうなのか。てっきり俺はお前がその巨塔を攻略しに行くと思っていたわ」
 ウエディングケーキです、これは。高さも3mくらいしかないし、1m50p(おい、誰だチビっていった奴(`‐´))が入れるようなものではない。
「じゃあ、あれか、帽子か」
 何度も言っているようですが、ウエディングケーキです。いちごや生クリームがのった3mのウエディングケーキを頭にのせて授業を受けている生徒を想像してみろ。100%不良だろ。いや奇人だろ。
「えー。じゃあ、爆弾か」
だーかーらーウエディングケーキです。しかし爆弾並に攻撃力がありそうだな。くらえっウエディング爆弾。敵に500のダメージだ。
 敵は爆弾をおいしそうに食べている。
 …そんな展開になるのかな? 爆弾を食べる兵士(軍服がいちごと生クリームまみれ)って、少しだけシュールだな。
「そうかウエディングケーキか。大きくなったな花子ー」
 え、ウエディングケーキの名前は花子だと。(しかも知り合いだと。というか大きくなりすぎだろ花子。3mだぞ3m。チェホンマンもびっくりだぞ。
「お前こいつ知っているのか?」
「ああ、実はな、俺の妹なんだ」
 ウエディングケーキが妹なんだ。危うく友人の妹を校庭に投げ捨てようとしてたぜ。
「なんで妹が学校に?」
「兄に変な女がまとわりついてないか確認しに来たらしい」
 わざわざ確認しに来なくても、ここ男子校だから女と縁無いのに。
「でさ、こいつどう考えても、お前に妹いないだろ」
「うん。俺一人っ子」
 ウエディングケーキが妹なわけないからな。
「このウエディングケーキ誰のかな?」
「あ、これ、来週離婚する担任への嫌がらせ」
 その後、ウエディングケーキは担任に送られたそうだ。
 担任は、その次の日から学校に来なくなった。

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