短編小説
□ユキの日
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──12月20日──
「空から来たんだ」
そう言ってアイツは笑った。
空は厚い雲に覆われて、綿毛のような雪を降らせている。
そこからアイツは来たらしい。
「ここまで来るのに苦労したよ。来る時は風に流されて川に落ちそうになるし、着いたら着いたらで雪に埋もれて踏まれそうになるし。足元見てよ! って、何回思ったことか」
「……小さいから見えなかったんだろ」
「ムワァ! それ言う?! ボクだってもっと大きな姿にしてほしかったよ!? でもね、神様が面倒くさいからって小さくしたんだよ……」
「ふ〜ん」
「胸の大きな美少女にしてほしかったなぁ」
「……」
それなんてエロゲー?
しかも美少女(巨乳)ときた。
二次元なら確実に萌えるシチュエーションだが、これは三次元だ。
そんな簡単に萌えてたまるか。
「……ちなみに性別は?」
「男だけど?」
「ッ!?」
ガクリと膝から力が抜けた。
コイツは男。
つまり神様とやらが美少女(巨乳)にしていれば、女体化だったと。
女体化。そう、女体化。
「……叶ろよ。俺の最大萌え叶えろよォォォ!」
今日、初めて神様を恨んだ。