捧げ物・頂き物

□悪魔降臨!?
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「あっ、ロイ、丁度良いところに。乱闘しない?」

それは廊下を歩いていた俺にカービィが声を掛けたことから始まる。

「乱闘かー。ま、いいか。やろうぜ」

悲しいことにこの時の俺はこの後の悲劇を知る由もなかった。もしも、ここで断っていたなら今日も平穏無事に過ごしていただろうに。

「おお、乱闘なら我輩も混ぜて欲しいのだ」

部屋から出てきたクッパが言った。
どうせこの屋敷にいるのは乱闘大好きな奴ばっかだし、人数増えすぎない内に乱闘システムんとこまで行くか。そういうことで俺達は地下に向かう。

「カービィ!!!」

そこに現れたのはメタナイト。カービィのストーカーだ。

「私も乱闘に参加していいか?」

後ろ手に持ったカメラが隠しきれてないぞ。乱闘中にカービィの写真を撮りまくろうとか、そういう下心が丸見えだ。

「もう四人集まってるから入れないよ。ね、ロイ、クッパ、ウルフ」

待て、ウルフを勝手に入れるなよ。

「ぁあ?勝手に俺様を数に入れてんじゃねえ。ピンク玉」

「誰がピンク玉だって?」

黒笑自重!そのハンマーのチラリズムいらないからっ!
ウルフにはハンマーが見えなかったのかそれともカービィの見た目に騙されて侮っていたのか、もう一度挑発をしてあえなく瀕死にさせられた。

「だからごめんねぇ?」

カービィはニッコリと心からの笑顔で言った。全っ然謝ってる風じゃないよなそれ。

「む…。では観戦するとしよう」

とぼとぼと去って行くメタナイト。お前、カービィのこと以外にやることないのかよ?毎回カービィの乱闘だけは観戦してるけど。

「さあ行こうか」

「うむ」

「って、それ引きずってくのかよ!」

カービィは死体になりかけたウルフを引きずって階段を降りようとしていた。せめて引きずるのは可哀想だからやめてやれよ。

「あたり前じゃん。言い訳はちゃんと実行しないとメタはついてくるし」

「…さいですか」

ズズ…ズズ…
サーバーの前まで来ると、カービィはそれを投げすてた。っておい!

「ステージは神殿でいいよね?ルールはストック制にして、三人くらいでいいか」

「ああ、いいけど。…じゃなくて、ウルフを捨てるな!」

「多分もうすぐ起き上がるんじゃない?」

「ってぇ……」

頭を抑えながらウルフが起き上がる。え、本当に起き上がったよ。

「始めてもいいのか?」

「うん☆」

クッパが試合開始のボタンを押すと、一瞬浮いたような感覚がしてステージに着いた。
ウルフの体の丈夫さとか、気になるところはあるけど今は試合に集中しよう。

「ファイナルカッター!」

「ぬっ、ぐぅ。クッパブレス」

カービィが先手を打つ。動きが鈍重なクッパはそれに当たったけれどダメージが少ないから吹っ飛ばずにそのまま攻撃に転じた。カービィは連続ヒットの技を途中で抜け出して、空中に逃げる。

「マーベラスコンビネーション!はっ、やぁっ、とりゃあっ!」

それを無防備に見上げていたクッパに攻撃を加えた。クッパは小さく吹っ飛んで、先で受け身をとった。
更に追撃を加えようと走り出したのに、途中で後ろからの攻撃に当たって妨害された。

「俺様を忘れてたんじゃねえか?」

ニヤリと笑ったウルフが少し離れた位置でブラスターをしまった。さっきのはウルフのクローブラスターだったのか。
そう思ってると反対から低い唸り声が聞こえた。

「とぅっ!」

見るとさっきまでクッパが居た位置にカービィがいて、浮いているクッパにハンマーで追撃を加えているところだった。カービィは空中に居たはずだから、ストーンで落下してきたのかもしれない。

「なかなかやるな。よしっ俺も」

クッパは周りよりダメージが溜まってる。もう少しダメージを与えればエクスプロージョンで飛ばせるはず。
クッパの方へ走り出す。後ろにも気配を感じるのはウルフもこっちに走って来ているからだろう。
俺は一回止まって振り返った。

「エクスプロージョン!」

溜めてないから威力は小さいけれど、牽制にはなる。
俺は標的を変えて、ウルフに攻撃することにした。

「チィッ」

ウルフは距離をとろうと下がるが、俺は間合いを詰めてレイドチョップを繰り出した。

「くっ、デュアルバースト!」

ダメージの溜まってないウルフからの反撃で、後方に少し吹っ飛ぶ。
体制を整えてもう一度懐に入りに行く。今度はスラッシュで手堅くダメージを与えて行く戦法だ。

「っと、やっと抜け出せたぜ。っは!?」

ウルフが上を見て驚いている。そこには石があった。否、ストーンで落下してきているカービィだ。
ウルフはこっちに飛ばされてくる。チャンスだ。



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