捧げ物・頂き物

□情けは人のためならず
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「うぇーん、ママ何処ぉ」

夕闇せまる薄暗い路地裏、一人の子供が泣いていた。

「うぇーん」






俺はロイ。今は街に来てるんだ。え?一人で来てるのかって?

「マルスー、今日はもう帰らないか?」

「うーん、でもまだシーダにあげるプレゼント決まってないしなぁ」

このマルスと来てるんだ。マルスの奥さん、シーダさんに渡すプレゼントを買う為にね。

「もう夕方だし、また明日来れば?」

俺は夕陽を眺める。


「それもそうだね。今日のところは切り上げようか」

「そうだな」

でもその帰り道でのこと。

「うぇーん」

「何か聞こえない?」

「泣き声?路地裏からだよね」

「行ってみるか?」

「もちろん」

多分路地裏からだと思うけど、子供の泣き声が小さく聞こえた。俺達は聞こえる方に行ってみる。

「グスン、ママー」

「迷子?」

「だろうね。君、お母さんとはぐれちゃったのかい?」

小さな子猫が泣いている。見たところ二足歩行で服も着てるけど…フォックスも同じような感じなんだけど、慣れないなぁ。

「グスン、だーれ?」

「俺はロイ、こっちはマルスっていうんだ。君、迷子…だよな?お母さん一緒に探してあげようか」

「ホント?」

「マルス、良いよな」

「僕は良いよ」

俺達はこの迷子の子猫ちゃんをお母さんのところに送り届けてあげることにした。

「名前は何て言うんだい?」

「ミアって言うの。ヒクッ」

「そっかミアちゃんだね。ちゃんとお母さんに会わせてあげるから泣かなくても大丈夫だからね」

「さてと、じゃあまずは表通りに出ようか」

「そうだな」

マルスはさっき俺達の通ってきた道を引き返していく。
俺はミアちゃんの手を握ってマルスの後を追って歩いた。

「ミアちゃんのお母さんって何か特徴ある?」

「グスン、うーんミアはママに瓜二つだってよく言われるよ」

「てことはミアちゃんに似てるネコさんを探せば良いのかな?ねぇロイ」

「そうだろうな」

とは言ってみるがそれで本当に見つかるかは解らない。

「とりあえずミアちゃんの特徴はー」

「子猫」

「黄色い」

「…他はー」

「うーん、緑の服着てることくらい?」

「服は関係ないだろ」

「だよね」


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