ポケモン
□分かれ道
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ずっと、好きだったよ。
友達として。
仲間として。
トレーナーとして。
大切な大切な、愛しい人として。
ヒカリについて行ったのは、心惹かれる事を見つけたから。
それを追いかけるため。
サトシとの繋がりが消えちゃう気がして、少し戸惑った…
でもヒカリは言ってた。
「私はサトシと旅してるんだもん。離れるわけじゃないのよ?」
ヒカリの言葉が後押ししてくれたから、ヒカリのポケモンになったの。
「よろしくね、エイパム……アム」
「ルイシュ行っちゃったのか〜」
「アム!アム!よろしくね!」
皆が笑って迎えてくれたら、これでもいいなって思えた。
今、また道を選ぶ時。
今度こそ、これを選んだらサトシとは全然会えなくなっちゃう。
「ピンポンは好き。コンテストも、バトルも………サトシと一緒に居たい。ヒカリとも、タケシとも、キセキやオウヤや他の皆とも」
これは本心?
否、サトシが好きで、でもピンポンをやりたい。そのジレンマだけ。
一人で壁相手にピンポンをやって、考えてた。後から聞いた話、途中からサトシ達も居たんだって。
皆が私に何も言わずに帰った後、私も戻ろうとしら、話しかけられた。
「やっほー。ちょっといい?」
疑問形なのに答えを聞いてないそれは、輝跡らしい。
「何?ピンポンのこと?」
そこに居たのは輝跡だけで、他には誰も居ない。多分私に話すことなんて、こいつのことだからそれだけ。
「まあね。もう決めたの?」
「関係ないでしょ。………まだ決めてないけど、何?」
私が壁に寄りかかって座ったら、勝手に隣に座った。
私は少し離れるために、左にずれた。こいつと肌が触れ合うなんてやだ。
「真面目に傷付くんだけど、それ」
「知ったこっちゃないよ」
だって、あんまり好きじゃない。輝跡のことは。
「僕は心が広いから今日の所は何もやらないであげるよ」
「はあ?何それ」
私より体ちっさい癖に見下した態度。どうしてもムカつくそれ。
「君さぁ。悩んでるの?サトシを好きになって、サトシのストーカーやって、ゲットされて、なのにヒカリのポケモンになって、コンテストやって。…今更何を迷ってんのさ」
ストーカーってのは気に食わないけど、意外にも私のことを理解していたらしい。
でも、こいつはサトシ並に仲間思いだったことを思い出して、私の決断を後押ししてくれてるのが分かった。