小話
□「好き」
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オレさぁ。
エドワードが困り顔で言った。
あんたのこと好きみたいなんだ。変だよねそーゆうのって。オレおかしいのかな。
ロイは書類から顔をあげてエドワードを見た。
本気かね?なにか違う感情と取り違えてないかい?
違う感情ってなに?
ソファに座ったまま聞き返すエドワードに苦笑して、ロイは立ち上がってそっちへ移動した。
エドワードの隣に座り、金の瞳を覗き込む。
家族や友人に対する愛情や信頼や仲間意識などのことだよ。間違いやすいからね。
どうやったら大佐にそんな感情を持つんだよ。そんなんじゃねーよ。
そっけない返事に、ロイは手を顎に当てて考え込んだ。
じゃ、きみは私の恋人になりたいというわけか。
いや、そんなこと思ったことない。
即答。ロイはますます考え込んだ。
ただ、今そう思ったから言っただけなんだ。オレ、自分がおかしくなったのかなって。変なら変って言ってくれよ。
つまりきみは相談しているというわけだな。
そう。あんたならレンアイケーケンホーフだから。
当の本人に相談など、聞いたことがないが。
あえて言うなら、そうだな。私には返事はできない、それだけかな。
別に好きになれとか言うんじゃないよ。単にオレが変なのかどうか……。
だから、それに返事ができないと言ったんだ。
ロイはエドワードを見て、くすっと笑った。
きみにずっと隠していたことがあるんだがね、鋼の。
ロイはエドワードの肩に手をかけた。
実は私はずーっと前から、きみが好きだったんだよ。
その言葉の意味を理解するより早く、エドワードの唇にロイの唇が触れた。
驚いているエドワードの頬にもう一度キスをして、ロイは優しい瞳をエドワードに向けた。
変かどうかなんて私に言えるわけがない。そうだろ?
でも、好きという言葉には返事ができるよ。
私も好きだよ。
うわ、なんか恥ずかし。あっち向けよ大佐。
そっぽを向いて赤い顔を隠そうとするエドワードに、ロイはまた笑ってその体を抱き寄せた。
END
………暑苦しい………。