バレンタイン企画〜情熱の嵐2009

□《Message》
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《Message》





《メッセージが4件あります
2月14日 14時32分…の、メッセージです》


―――ピーーッ…


【不在だって言われたから、ボックスの中に入れておいたよ】



その時間は神ノ木に騙され、裁判所の資料室に居た。己の計画を果たした後、抜け落ちた箇所の数枚を隠し持っていた神ノ木を資料室に置き去りにし、こうして局にと帰還したのだ。

現時刻は、17時を僅かに過ぎている。



《2月14日 15時40分…の、メッセージです》


―――ピーーッ…


【朝、御剣から貰った生チョコ凄く美味しかったよ!何処で売ってるのか教えて欲しいから電話下さい】



『15時40分』という時刻に、神ノ木に騙されていなかったらば!と、奥歯を強く噛み締める。
コール出来なかった理由が神ノ木のせいだとは言えぬ分、臓が煮え繰り返るほど腹立たしい。



《2月14日 16時00分…の、メッセージです》


―――ピーーッ…


【連絡出来ないみたいだし……僕、一旦事務所に戻るから事務所に直接連絡下さい】



成歩堂はどうやら検事局近くに居たようだった。

もしかすると合流出来るかも…という、ささやかな期待を叶えてやれなかった事が実に口惜しい―――。



《2月14日 16時00分…の、メッセージです》


―――ピーーッ…


【あのね。……本当は僕も、手渡したかったんだ……それを伝えたくて】


―――メッセージは以上です。このまま………



最後のメッセージが再生を終えた時点で私は既に、投函されたバレンタインの品を手に地下駐車場へと引き返していた。

事務所に一報をと言っていたが、一刻も早く成歩堂の元へと辿り着きたいといった想いの方が強く。
スープラの運転席へ勢いよく飛び込んで手早くセルを回し、ハンドルを握り締めた。

カーステレオの液晶に浮かぶ時刻は、17時15分。
成歩堂法律事務所の営業時間は基本的に17時30分までと知っている。

ギリギリに到着するといった微妙な時刻に加え、そろそろ夕刻の渋滞時間体にも重なりつつある。

しかしいざとなれば、パトランプを装着してしまえば良いのだと、強くアクセルを踏み込んだ。


(間に合うか?……否!間に合わせるのだ!!)


地下駐車場に金切り声のようなタイヤ音を響かせ、スープラは軽快に走り出す。


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