バレンタイン企画〜情熱の嵐2009

□『月読 ―TUKUYMI』
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『月読 ―TUKUYMI』
〜Episode from White day〜






『お忙しい所、申し訳ありません。ゴドー検事の所在をご存知ではないでしょうか?』

「知らん……!」


受付からの内線に、些か尖った声で応答してしまった。
というのも、そんな内線ばかりが午後の執務室を賑わせていたからだ。

3回程立て続けに連絡が来た時に、神ノ木の携帯へと直接コールしたのだが、繋がらず。仕方なくメールを送信したが、未だ返信はない。

内線の回数は既に二桁を越えている。

最初の内は伝言用のメモ紙へ律儀に時間と相手の名を書き残していたが。
10回目に馬鹿馬鹿しくなり、15回目に苛立ち始め、20回目となった今、押さえていた憤慨感が一気に押し寄せたのだ。

流石の受付嬢も荒立つ声に驚いたのか、三度も謝罪の言葉を含めた上で丁寧に通話を切った。
彼女にもとんだ迸りを受けさせたなと思う反面、その大元である神ノ木に対しの苛立ちは募るばかりであった。



―――――――――――
To:神ノ木 荘龍
Subject:直ちに帰還を

》年度末ぐらい粉骨砕身に職務遂行せよ!

―――――――――――



本日3度目となるメール送信。
題目には全て『帰還』の二文字が入る事となる。

4度目は『始末書』の文字を入力してやると思いつつ、山積みとなった書類へ再度視線を落としたのだった。








気付けば既に陽は落ち、窓際から月が姿を見せていた。

書面に没頭していたせいか瞼は重く、薄墨の月が二重に見える。
そろそろカーテンを引かねばと思い、眼の疲れを労う意味でも一旦の休憩を取る事とした。


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