バレンタイン企画〜情熱の嵐2009

□【Destiny-Rose】
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〓 Destiny-Rose 〓
〜Episode from White day〜





会議を終え副局長室へと戻った時、視界に入ってきたそれを見て盛大なる溜息が漏れた。

何故なら、デスクに積み上げられた書類の山と同等の高さで、CDのケースが平積みされていたからである。


(あれ程に言い聞かせても、まだ解らぬのか………)


全てが未開封な状態のそれは、無期限活動停止中である『ガリューウェーブ』の様々なアルバムだった。
ジャケットには相変わらずの牙琉響也が妙なポーズで、自分にニッコリと微笑んでいる。

月曜から数えて連続の6日間、こんな状況が続いていた。
これではデスクの引き出し全てがガリューウェーブのCDで埋まってしまいそうだ。

一体何を考えているかと思いながらそれを手にした時、不運な事にまたしても神ノ木がノックも無しに入室。
罵声を浴びせる前に手にしたそれを見られ、嫉妬深い獣はニヤリと悪相的な笑みを漏らした。


「不倫ってヤツは、バレねェように上手くやるのがスジってモンだぜ……ボウヤ」

「……貴様は昔から日本語が不自由であるとは知っているが―――その発言、余りにも勘違い甚だしいッ!!」

「クッ!3年目の浮気位は大目に見ても、10年目の不倫はチョイと………オイタが過ぎるんじゃねェのかい……?」

「喧しいッッ!貴様はまたもやアポイントを完全無視な上、そのような事を言いに来たのならばさっさと――――!!」

「そうですよね。此処はポリスの巣窟なんだから、マフィアのボスは特に空気読まなくちゃ」


唐突にハハッと笑い声がした瞬間。
その会話中にスルリと入ってきたのは、事もあろうに当の牙琉響也であった。

その必然的な鉢合わせに、治りかけていた胃は再びキリキリと痛み出して―――CDのケースをしまうよりも先に、引き出しから胃薬を出す羽目になったのだった。


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