バレンタイン企画〜情熱の嵐2009
□《Jealousy Game〜砂糖菓子のようなキミ》
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《Jealousy Game
〜砂糖菓子のようなキミ》
「それ……何ですか?」
「ン?ああ、先週の会合先で貰ったんだよ。代議士の秘書だったかなァ……」
「先週の………」
バスルームから戻ってきたなるほどちゃんが、ボクがポケットから出したモノについて尋ねてきた。
リムジンの物入れにしまいっぱなしだったのをたまたま見付けたから、甘いモノ好きな彼へお土産に持たせようと思い、持ってきただけ。
でも、コレがバレンタインのチョコだと知った彼は、バスローブの袖口なんかを弄びながらベットの隅っこに座った。
何時もなら真っ先にボクの傍に来て子供みたいにじゃれついてくるんだケド、今夜は何だかチョッピリ拗ねている。
「あれ?チョコレート、ボクの部屋でも食べてたよねぇ?」
「……だって、それは―――」
バレンタインに手渡されたチョコだから……と、今度は紐を捏ねくり回す。
局内でも馬鹿ミタイにチョコレートは飛び交って、ボクの部屋にも段ボールが縦積みされていた。
彼はその中から自分のスキそうなモノを選び出して嬉しそうに食べていたのだから、別にソレは関係ナイようだ。
(ふぅん……『手渡し』ってコトなんだねぇ……)
どうやら、バレンタイン当日に手渡し出来たモノは彼にとってその質が違うようだ。
そういえばバレンタインの日、彼のチョコは会合に連れて行った御剣クンから手渡されていた。
本当は自ら手渡したかったらしく、【heart in your location(心は貴方の場所にある)】と手書かれたカードが添えてあったのを、ボクは思い出す。
目には見えないシッポの先を曲げたのは、そんな他愛もない嫉妬らしい。
「ああ、つまりそれってジェラシーなのかなァ、くれたヒトに対しての」
「別に……そんなんじゃ―――」
「アハハ!チョコなんか、ただアマイだけなのにねぇ……」
自分でもそうとは気付かぬ内に、随分と可愛いらしく気を引こうとしている姿が実に愉快で。
これは在る意味、天然素質だよねぇ…と。
未だにそんな透き通る青さを持つ彼に、ボクはニッコリと笑って。
―――チョッピリ愉しい悪戯を思い付いた。
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