バレンタイン企画〜情熱の嵐2009

□Cocoa〜ずっと甘い唇
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《Cacao〜ずっと甘い唇》





――――2月14日。


去年はゴドーさんから作り方を伝授して貰って、生まれて初めて手作りのチョコレートを贈った。
溶かして、丸めて、ココアパウダーをたっぷり振り掛けたトリュフ。

今年も同じ物というのも芸がないし、バレンタイン用のチョコレートを買う勇気もない。
そんな事をグズグズと考えている内に、結局は当日を迎えてしまった。


(うぅ……もう芸とかそんな場合じゃないや)


夕方近くになって漸く僕は原点に返る決意をして、事務所に程近いコンビニまで走って板チョコを買い、急いで事務所に戻った。

ジャケットをソファに脱ぎ捨て、アスリートさながらに駆け込んだ給湯室に。


「……よォ、コネコちゃん」

「い!!アワワ……ゴドーさん!!!」


ゴドーさんがコーヒーメーカーの前で、それはごく当たり前のように居た。見馴れた光景だけれど、流石に今日は矢鱈と驚いてしまう。

今逢ってはマズイ状態だったから………


「あ……あの!コーヒーなら僕が入れますんで!是非ソファで寛いでいて下さい!!」

「クッ!また随分と買い込んできたなァ……カカオばかりを」

「え…ええと!今日はバレンタインデーなんで、つまり………」

「………つまり?」

「うぅ……これで手作りしようかと―――ゴドーさんに……」


贈りたい本人を目の前にして、僕は実にアッサリと自爆してしまった。
どっちにしろ、袋の中から顔を出す板チョコのパッケージで、それはもう隠しようが無かったのだけれども………。

一気に俯く僕をゴドーさんは愉快気にくつくつと笑って、袋からチョコを1枚抜き取った。


「コイツを数秒でスペシャルなバレンタイン用に加工する方法があるんだが……」

「え……数秒で…?!」

「あァ……ソイツはハンドメイド以上のサプライズなのさ……」


本人がサプライズと位置づけるのだから、それは願ってもない事じゃないかと僕は思い、二つ返事で教えて下さい!と申し出る。

するとゴドーさんは口端を上げながら板チョコの包装紙を半分破いて、一かけらを僕の口の前に差し出す。


「??え……あのぅ………」

「コイツをくわえて、直接オレの口に届けな……まるほどう」

「え…!エエエ!!!」

「クッ!今日はバレンタイン……そうだろう?」
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