バレンタイン企画〜情熱の嵐2009
□《WILD_LOVE 〜Freeze Frame》
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―――それから10分程経った頃。
バイクは油と潮の臭いのする埠頭で漸く停止した。
2月の夜風で身体は凍てつくように冷え切ってしまい、上手く身を動かす事すら困難な状態となってしまっている。
そうと知っているのか、神ノ木は私を抱きかかえるようにしてバイクから下ろし、着ていたジャケットを脱いで、背に被せた。
「クッ!ナイトデートにゃまだ時期的に早かったかい?」
「貴様は……無茶過ぎる…ッッ!!!」
「あァ……オレは毎回命掛けなのさ……ボウヤに―――」
波音と汽笛が響く中、神ノ木は胸に抱くようにしながら髪に顔を埋めた。
染み入るような体温が頬に伝わり、心地よく身を離す事が出来ない。
それから暫くそうしたまま動かずに居たが、深い溜息を漏らすまでに体温回復した頃、再びメールの着信音が懐から鳴り響く。
慌てて懐に手を差し入れようとはしたが、腕が動かない。
身体を抱きすくめる神ノ木の腕が更に強くなったからだ。
「―――何れ戻っちまう事位、解る大人にはなっちゃいるつもりだぜ……?」
「ならば、何故……」
「飢えてたのさ、ボウヤに――――」
互いの世界から掠め取った偽りの時間に、神ノ木の体温ばかりが身体に染みてゆく。
それで気が済むのならば………そう言葉にすると、神ノ木は低く笑い、耳元にこう囁いた。
――――I love you from the bottom of my heart
オレの、ボウヤ………
――――End.
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