Hakuouki

□狼男はすぐ傍に
1ページ/1ページ



つれない つれない 今日もつれない。

「斉藤さん、斉藤さん」
「…なんだ」
「えーと、大好き、です」
「…そうか」

ほんとにつれない人ですこと!




「もぅいやー、斉藤さんってばつれなさすぎー」

そう言って私は斉藤さんの背中に寄りかかる。
あったかいー。

「…離れてくれ、仕事の邪魔だ」
「そんなこと言わずにー」

首に腕を回して抱きつく。
おー髪の毛ふわふわー。

「…邪魔だ、鬱陶しい」
「そんな殺生なー」

えーいこの際だ、ほっぺも触ってしまえ。
ってことで私は顔をぐりぐりと押し付ける。
うわ、なにこの女顔負けなもち肌は!

「…っ邪魔だと言っているだろう!」
「きゃっ!」

勢い良く斎藤さんが立ち上がる。
抱きついていた私は手を離してしまって無様に床に転がった。
それを見て顔をしかめる斉藤さん。

「っ、出て行ってくれ」

それだけ言ってくるりと机に向き直ってまた仕事を始めてしまった。

「え、あ、はい、お仕事の邪魔してごめん、なさい」

私は転がる様にして斉藤さんの部屋から飛び出した。








「それってさー、やっぱりお前がうざかったんじゃね?」
「だよね私もそう思う」

巡察から帰ってきたばかりの平助に泣きついて今は縁側で会議中。

「でもさーあんなに思いっきり眉間に皺寄せて出てけって言われるとは思わなかったんだよねー」
「うえ、はじめ君そんな顔したの」
「したんだよボケ」

あーもう思い出させるなっつーの。

「なにしたのお前」
「なんだよ私が悪いの前提かよ」
「だって一君が何もないのに怒る訳ないし」
「確かに」

と言われましても。

「私は何もしてない、筈」
「嘘つけ目が泳ぎまくってるぞ」

ばれた。
くっ!今度沖田さんに嘘のつき方習わなきゃ!!

「うーんと…まず最初に背中に寄りかかってー」
「うん」
「次に首に抱きついてー」
「…うん」
「最後にほっぺぐりぐりした」
「なんとなく一君の気持ち分かったよ…」

え、ちょ、平助なんでそんなに哀れんだ目で私を見てるの?!

「一君の事だから滅茶苦茶我慢してるんだぜー、きっと」
「え、それどゆこと?」
「わっかんないかなー、だからさ…」
「余計な事を言うな」
「…わーお斉藤さん」

なんという良い所でのご登場。
あれ、なんか目が凄く怖いんですが。

「わ、悪いな!俺用事思い出したーっ!」
「へ、平助っ?!」

言い訳もも程ほどに平助は全力疾走。
に、逃げやがったアイツ…!!
覚えてろよコノヤロー!

「…なにを言われた」
「(喋った!)いや、特に何も」
「目が泳いでいる」

助けて沖田さーんっ!
ちょっと本気で習いに行こうかな、うそつき塾。

「さ、斉藤さんが滅茶苦茶我慢してるって…何を我慢してるかは教えてくれなかったですけど」
「…そうか」

斉藤さんは溜息を一つ零した。
それから手で髪の毛をくしゃりと掻き揚げて(色っぽい…!)から大きく息を吸ってこう言った。

「その、通りだ」
「へっ?」

えーと、どの通りで?
我慢してたってこと?何を?
何がなんだか理解できない私を見てまた斉藤さんは溜息を吐いた。

「…お前は無防備すぎる」

んん?イマイチ言いたい事が分からないぞ?

「好きな女にあんな風に触れられて我慢できる奴は少ない」
「はぁ…」

言ってる事意味分かんないな、ってことで必殺!適当に相槌!

「今言った意味分かるか?」
「全く分かりませんでしたごめんなさい」

またも溜息を吐く斉藤さん。
流石に失礼じゃないかこの回数。

「…あまりに鈍感だと、こうもやり辛いのか」
「なんですか急に」

もう、はっきりしろよ男だろ。

「つまりだな…あまり俺の理性を信用するな、と言う事だ」





(それはあれですか、私の魅力にくらくらしたってことですか、ねぇ斉藤さん!)
(…うるさい)


*****

一君難しい。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ