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□無重力少年
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- 東京某所 -

高級マンション街の中でも一際目立つマンション。名は「sea's mansion」限られた人間しか入居できないと云う噂が立っている。そんなマンションの一部屋に長身細身の女が景色を眺めていた。


「遂に…」


自分の身長よりも高い窓ガラスに手を当てて目を閉じる。女の漆黒の髪が揺れた。


「…」


暫くすると白い肌に栄えた青い瞳が街を見下ろす。そして薄い唇をゆっくりと動かした。


「Zero gravity boy.」


綺麗な発音が部屋中に響いた。ソファに座り、グラスの液体を飲み干す女の歪んでいた横顔が、何故か綺麗に映った。
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