虹色世界の流離譚
□Prelude 2
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とりあえず弦稀は、明日から学校内や町内を探索する旨を真守に告げた。真守は、自分も出来る限り同行すると申し出て、それで電話は終わった。
受話器を置くと、年の離れた妹がぱたぱたと駆け寄ってきて、弦稀の足にぎゅうっと抱きつく。
「おにいちゃーん、一緒にテレビ見ようよー?」
「ああ、わかったから、莉々香、今行くよ」
くいくいっと服をひっぱってくる妹をなだめながら、弦稀は居間に戻った。テレビの向こうでは、自分とあまり年齢の違わない双子の兄妹が、司会者との談笑に花を咲かせている。
莉々香は、若くして芸能界の若手スターにのしあがった二人を見てきらきらと目を輝かせていた。
「すごいねー、このお兄ちゃんとお姉ちゃん」
テレビへよっていこうとする妹を引きとめて膝に乗せながら、弦稀は機械的に同意した。
「そうだな」
「いいなあ。テレビに出れるなんて、うらやましいなあ」
弦稀は、司会者からのきわどい質問を笑って受け流している、全く面識のない兄妹を見る。画面越しの虚像。
(特別っていうのは……他から外れているっていうのは、疲れるよな)
妹がテレビへと無邪気にまなざしを注ぐのを見ながら、弦稀は複雑な思いに駆られていた。
そして、少年たちと少女たちはやがて出会うこととなり。
その出会いが、避けることのできない運命への幕開けとなったのだ――