虹色世界の流離譚

□Prelude 1
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○○


闇が溶けた空間で、男の落ち着いた声だけが響いた。

「また、あちらから落ちてきた……」

顔全体を布で覆っている男は、それだけ言うと再び沈黙した。しかしその言葉の意味は、その場にいた誰もが理解できていた。

「〈イリスの落とし子〉がこの世界に戻ってきた、のですね?」

念のため誰かが問うと、男はゆっくりとうなずく。

「これで、こちらの世界にいるのは六人だ。あと一人、足りない。しかし、手を早く打つに越したことはない……落ちてきた二人を、早々にとらえてくるのだ」

おごそかで、しかし逆らい難い響きを秘めた声を最後に、またあたりは沈黙に包まれた。


 
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