05/08の日記

00:21
★一ヶ月後
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さようなら
昔の私は今の私に背を向けている
後をつけてくるのは 眠りたくなるほど静かな暗闇



朝も昼も夜も
私は二本足のままで歩き続けるのだ
杖を使うほど熟練していないし 手をつくほど幼くはないから



どこまで駆けていっても
同じ景色しかないと考えていたあの頃
その場にとどまれなかったことを 後悔していないのに胸が痛むのはなぜだろう



どれほど言葉を綴っても
取り返せるものもない上に手に入れられるものは少ない
流れゆく砂塵をつかめない そのことを嘆くのは愚かだと 知っているはずだった



「知っているはずだった」



諦めることを覚えて賢くなった
その幻想は単なる錯覚であったわけで
いつまでも砂遊びを繰り返した 幼い頃のままでいる自分がいる



「間違っているはずはないんだから」



手を握りしめても己の矮小さを思い知るばかり
生まれたはずなのに何も生み出せないでもがいている
助けの来ない夜の海で 永遠に続く夢を見ていた



終わらない 終わらせたい 終わってほしくない
昏い海から這い出すのは私
誰かの温かい手を欲しいなんて望んではいない



「ひとりぼっちだってこと ずっと前からわかっていた」



闇を 海を 砂をかきわけるのは
答えがわからずにあがき続ける 私であるべきなのだ



「神様に祈ろうなんて、絶対に思わないけれど」
「明日昇る太陽の眩しさだけはどうか見せてほしい」
「闇に殺された視力は 光でさらに壊滅させられるだろう」
「希望と絶望の輪舞曲で 感情が枯れてしまったとしても」
「それでも私は 見えない目で 動かない足で」
「砂塵をかきわけ」
「いつしか」
「きっと」
「たった一人で」
「何かを」




(2011.5.2)
(2011.5.7 推敲)

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