短き夢幻

□山崎退の不憫な毎日
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「ちょっとおぉぉ!!俺のこてっちゃん折れたんですけど!真っ二つなんですけど!!ローンまだ残ってんですけどおぉぉ!!!」
侍の魂こと刀が折れてしまい、この世の終わりのような顔をする近藤。
「大丈夫でさぁ近藤さん。刀は折れても、アンタの魂は折れちゃいねぇでしょ?」
「そういう問題じゃないからあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
(あぁんもぉ局長煩い!)
これが彼の悩み。
日常茶飯事に繰り広げられるこの親子(?)喧嘩の下り。
ただの痴話喧嘩なら大地の女神デメテルの如く暖かい目で見守ろうと思えるのだが、
真撰組と言うことから、刀やバズーカを使うのは日常茶飯事。
屯所の一部が破壊され、干していた洗濯物が斬られ、そして……

ゴチンッゴチンッゴチンッ!!!

「いっで!」
「だっ!」
「ぐっ!山崎てめえぇ…!」
あろうことか彼は上司三人組に拳骨をお見舞いしたのだ。
「いい加減にしろよおまえらあぁぁ!!毎っ回毎回屯所内や街ぶっ壊しやがって…後始末誰がしてると思ってんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

そう、壊れた屯所内や街の修理を頼むのも、そのご近所さんに頭下げて廻るのも、全て監察である彼の役目なのだ。
「だいったいお前等喧嘩するなら外でやれえぇぇぇ!!バズーカとか刀とか使うなやぁ!!侍の魂ただの喧嘩に使うなあぁぁ!!」
相当溜まっている様だ。
局長である近藤を殴るのは兎も角として、沖田や土方を殴るなど余程なのだろう。
…局長殴るのが一番いかん気がするが。
「俺被害者なんですけどおぉぉぉぉぉぉ!!」
生まれて30年近くのオッサンの涙目は形容し難いものだ。
「うるせえぇぇぇぇ!!お前も少しはボリューム下げろやあぁ!!」
おめぇもな。
「お前がいっち番煩いだけどぉ!」
そんなツッコミを入れた副長をギッと睨む山崎。
「兎に角お前等後始末全部しろぉ!もぉうんざりなんだよぉ!!」







とか言いながら
結局は全部後始末を引き受ける
山崎退であった………


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