短き夢幻

□山崎退の不憫な毎日
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はぁ、今日も良い天気だ…
こんな日はミントンラケットでも振りたい気分だ。
なんて、そんな事したら副長に怒られちゃうけどね。

山崎退。
真撰組隊士の監察。
その地味な顔立ちは決して悪くない。
悪くないが地味故に、覚えてもらえない顔立ち。
悲しくなる事数知れず。
しかし、だからこそ密偵に向いているのは純然たる事実。
さて、そんな彼には悩みがあった。
もともとこの銀魂で一番常識人な彼。
新八君も常識人だが、彼はホラあれだ。
やっぱり万事屋と絡んでいるからそれ相応に常識外れな事をたまに仕出かしてくれる。

まぁ取り敢えず話を元に戻すとですね、彼には悩みがあるんですはい。
それはと言うと………

ドカ―――ン!!

「総悟てめえぇぇえええぇぇぇぇぇ!!!!!」

(始まったよ…)
背後からドカ―――ンやらチュ―――ドンやら何かが爆発する音。
屋根や地面、岩等が砕け砂塵が撒き上がり、爆風が髪を四方八方に撒き散らす。
それに引き続き、真撰組内でも恐れられる『鬼の副長』で、彼の上司こと土方十四郎その人の怒鳴り声。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!こてっちゃんが!俺のこてっちゃんがあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」
今日は我らが局長、近藤勲も被害にあったらしい。
(うるせえぇぇぇぇぇぇ!!)
何て言えず、己の背後でドンパチやっている上司達を顧みた。


「総悟てめぇもう赦さん…!そこに座れ、俺が介錯してやる……!!」
殺気立っている土方。
「まぁまぁ、そんなピリピリしてっとぉ、マジで禿げまっせぇ?土方さん」
そこらに居る隊士達なら腰を抜かしながらも逃げるであろう土方の地を這うような低い声音と目に顔色一つ変えず、ニヤニヤ口角を吊り上げるのは真撰組一番隊隊長、沖田総悟だ。
「誰のせいだと思ってんだテメエェェェェア!!」
刀を鞘から引き抜き振り回す土方と、それと交わし愛用のバズーカを構える沖田。
「全く飽きないんだからあの人等」
そう思いながら見ているともう一人加勢して来た。
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