捧げ物
□奏様へ
1ページ/6ページ
「ねぇ銀ちゃん、銀ちゃんってば」
「んあぁ‥?」
そろそろ肌寒くなってきたある昼下がり、仕事の依頼もなく定位置のソファーで昼寝をしていた銀時。
それを邪魔したのは我らがヒロイン、神楽である。
「んあぁ?じゃなくて遊んでヨ。ワタシ暇で死にそうアル。判ったら遊べヨ天パ」
「おーい、それが人にモノ頼む態度か?あぁ?」
真っ正面から人を平気で傷付ける言葉に落ち込めば良いのか怒れば良いのか
そんな微妙な所を突かれた銀時は毒気を抜かれ、結局は力のない間の抜けた突っ込みしか出来ない。
「大体、そんなのは定春と遊ぶか一人で遊べ。大人を巻き込むんじゃねぇよクソガキ」
冷たくあしらい
さてもう一眠りといった所でしかし、それはまた銀時の肩を揺らしながらごねる神楽によって妨害された。
「嫌アルっ!定春は新八や姉御と出掛けて夕方まで帰ってこないし、よっちゃん達も今日は寺
子屋の宿題で遊べないから暇アルヨ!ねぇ銀ちゃんお願い〜!」
「おぼぼぼぼっ!コッ‥殺す気かあぁぁぁ!!!」
がっしと腹に抱き着かれ
ギギギギ‥っと骨が軋む嫌な音
腸(はらわた)が逆流しそうなそれに、半ば本気で意識が飛ぶ
因みに
"本気"と書いて"ガチ"と読むのはお約束
「じゃあ遊んでヨ。もう銀ちゃんしか頼めるヤツ居ないネ」
口を尖らせながら上目遣いに睨んで来る構ってちゃん神楽のお願いには、流石の銀時も渋々折れるしかなかった。
何でこうなったんだろうなぁ‥
今自分が置かれている状況に、心の片隅で思った。
――――ガキの遊びってさ
大人になってからやっても何か楽しめちゃうから不思議だよね
神楽に外へ引き摺り出され、途次(みちすがら)寄った百均で安いゴム製のボールを買った銀
時。
辿り着いたのは中々広い面積を有する空地
着いたと同時に神楽は駆け出し、銀時とある程度距離を取った所で振り返った。
「銀ちゃーん早くうぅ!かかって来るヨロシ!」
無邪気に燥ぐ(はしゃぐ)神楽の満面の笑顔は歳相応‥いや、少し幼く感じさせる。
全く、ガキは元気で良いですね〜
と毒突きながらも、満更でもない銀時は微苦笑を浮かべた。
「よーしんじゃあ行くぞー‥ウリッ!」
先ずは軽く肩慣らし
緩く投げた球体は緩く弧を描き神楽に迫る。
「オーライオーラーーイ」
腕を大空へ掲げるように伸ばし、ゆっくり二〜三歩後ろに後退して危なげなくボールをキャッチする
「お、中々やるなお前」
「ひひぃ〜ん、ナメてもらっちゃあ困るアル。ワタシに出来ない事などなあぁい!喰らえっ!必殺っ、ライトニング・スプラアァッシュッ!!!」
勢い任せに投げられた球は不安定にうねり、全く動きが読めない
「おっとっと‥ったく、コント
ロールはからっきしかよ!」
しかしそこは銀時。
難無く神楽の無茶苦茶なそれをしっかりキャッチしてまたゆっくり投げる。
両者とも何度かそれを繰り返していると、そこに招かれざる来訪者が現れた。
+