捧げ物

□奏様へ
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パシンッ…


銀時の剛速球が容易く受け止められる。

その瞬間、辺りには静寂が満ち静かな風が木葉を揺らす音だけが支配した。

まる緊張感
湧き上がる闘志

「高杉…!」

桂の殺気立った声音が搾り出される。

その殺気は目の前にいる派手な着流しの高杉と呼ばれた男に飛ばされているが、しかし高杉は決して怯む事なくにやりとニヒルに笑う。

「何だよお前さんら‥随分と楽しそうな事してンじゃねぇか、え?俺もちょいと交ぜてはくれねぇかい?」

「………」

小馬鹿にしたように嗤い煙管を吹かす高杉の言葉に、其処に居た全員むっとした顔になる

「神楽、これで買える分だけボール買って来い。」

「アイアイサー」

銀時が手渡した二千円を片手に、神楽が空き地を離れる。

それを見届けた銀時はゆらりと高杉に向き直り、鋭利な眼光のまま睨みつけた。

「高杉‥わざわざ歌舞伎町―ココ―に来たのは何の為だ?デケェ花火とやらでも上げんのか?」

低く敵意剥き出しの声音は空恐ろしく、その場の空気だけが凍り付くようだ。

しかし高杉は全く意に介する事なく冷笑を貼り付けたまま

「ククク、いいや?いつか壊れるこの腐った街を散策しているだけさ」

どこまでもニヒルに徹する高杉だが、対しての銀時は殺気を仕舞い込んでいつものように死んだ魚の目に戻り
袋から新しいボールを取り出した。

「そーかい。ほんじゃあまぁこっち来いや。ここいらできっちり落し前付けようじゃねーか」

高杉の口角も更に吊り上がった





















ズドドドドドッ!!


そんな効果音が聞こえて来そうな球を繰り出すのは一体誰か

「やるじゃんよ晋ちゃんっ、やっぱ腕は鈍ってねぇみてぇだな」

銀時が渾身の力で高杉目掛けボールを投げ、楽しげに笑みを浮かべる。

それを容易にキャッチした高杉はニヒルな笑みを浮かべながらも、その目は銀時同様愉しそうに煌めいていた。

「はんっ、当たり前ぇよ。伊達に"球投げ晋ちゃん"の異名を採っちゃいねぇ」

「面白れぇ、"銀の弾丸"と畏れられる俺の球を受けて‥―」
















ドーンッ‥―――



















というような‥ではなく
ドーンという音が実際、空き地に響き渡った。

「な、何だ!?」

色をなくした銀時の声が上がる

地響きと共に舞う砂塵

所々から聞こえて来る何か割れる音

それらが徐々に落ち着き、瞑っていた目をゆっくり開けると其処には…















「あははははぁ〜っ!キャッチボールならワシも仲間に入れてくれぇ〜!」

「お前ですかあぁぁ!!!」



地面に突き刺さった宇宙船から顔を出す男
坂本辰馬が居た



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