短き夢幻
□節分の日
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「オメーら手加減ってのを知らねぇの?」
新八のはそうでもなかったが、戦闘民族夜兎である神楽の投げる豆は銀時にじわじわとダメージを与えた。
「ガキはガキらしくって言ったのは銀ちゃんネ」
「僕らは子供らしく豆まきしただけですよ」
胸を張ってふんぞり返る二人を見て、銀時は苦笑した。
ったくこいつらは…
「そんなことより豆を食べるアル!」
「はいはい、じゃあ年の数だけね」
沢山食べたい神楽は渋々年の数だけ豆を食べ、新八も年の数だけ豆を食べた。
「そーいや銀ちゃんはいくつ食べられるネ?」
神楽の突然の質問に、新八はあぁと声を上げた。
「そういえば銀さんの歳知りませんね、いくつなんですか?」
興味津々で詰め寄ってくる二人が、昔の自分達に重なって見えた。
―――先生って幾つ豆食えんの?
銀時の疑問に小太郎も晋助も師を仰ぎ見た。
松陽は少し困った後言った。
「……内緒っ、俺は後で食うよ。歳がバレるからな」
―――内緒です。私は後で食べますよ。歳がバレてしまいますからね
「ずるいネ銀ちゃん!」
「そうですよ教えてくださいよ!」
―――先生ずるいや!
―――そうですよ教えてください先生!
ああ蘇る懐かしき記憶。
「良いの!ホラ、ガキはさっさと寝ろ!」
まだ講義してくる二人を寝かせ、銀時もゆっくり瞼を閉じた。
松陽は口を開き言葉を紡いだ。
銀時、あなたは鬼なんかじゃありません。
私や小太郎、晋助と同じ『人』です。
だから、あなたも一緒に豆まきをして、悪いものを追っ払っちゃいましょう?
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