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□【愛し君へ】
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「!?」
名を呼ぶゼロに、スザクは銃を撃つことができなかった。嫌な予感がしたのだ。今まで気付かなかったが、スザクと呼ぶその声に聞き覚えがあった。スザクにとってこの世で愛しい人の声に。
「ま、さか…」
スザクは恐る恐る、ゼロの仮面を取った。仮面の奥にあったその顔は…。
「…ルルー、シュ…」
この世で守りたい人、ルルーシュだった。
「な、んで…どうして…っ!?僕は…何をっ!?」
血の海の中にうずくまったゼロの正体がルルーシュ。スザクは銃を落とした。
ゼロの正体がルルーシュだということよりも、彼を撃ってしまったことが事実として受け入れられなかった。
「…スザ…ク…」
「違う、僕はっ…俺はっ!君を撃ちたかったわけじゃない!!」
「知ってる、さ…馬鹿。」
混乱し、泣きじゃくるスザクに、ルルーシュは穏やかな笑みをこぼす。
「ルルーシュ…俺は君を…撃っ、て…」
「お前、は…誰も撃って…ない…忘れ、ろ。今までのこと、全部…」
「ルルーシュ…?」
ルルーシュはスザクに手を伸ばし、その唇にキスをした。
「好き、だ…スザク。」
「俺だって…ルルーシュのこと…好き、だよ。」
「そう、か…」
ルルーシュの笑顔に応え、スザクも涙を溜めたまま笑顔をつくる。ルルーシュは静かに目を閉じた。
「今まで、ありがとう。さようなら…だ。」
「ルルーシュ…?」
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