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□【愛し君へ】
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「…やっと追い詰めた。」
「…っ!」
どこまできたのかは分からない。黒の騎士団はコーネリアの部隊に追い詰められ、壊滅状態となっていた。仲間達とはバラバラになってしまったゼロの前には、銃を持った一人の騎士が立っている。その銃口は、ゼロへと向けられた。
「…ゼロ、投降しろと言っても聞き入れてくれないだろ?」
「…私が投降するように見えるか?枢木スザク…」
“投降”という言葉など持ちあわせていないと暗に口にしているゼロに、スザクはキッ、と睨みながら引金に力を入れる。
「なら、僕はっ…お前を撃つ!」
言い放ち、スザクはゼロの心臓を撃った。悲鳴も上げず、ゼロは静かに倒れていく。
「お前はたくさんの人達を殺してきた。その命で、亡くなった人達に償うんだ。」
そう言いながらスザクは近付いていく。心臓から少し外れていたらしく、ゼロはかすかに動いている。
「…まだ息があるんだね。じゃあ、すぐに楽にしてあげるよ。」
今度は頭に銃口を向け、引き金を引こうとするが、それは発せられた声により阻まれた。
「…ス、ザ…ク…」
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