立海

□その余裕な態度が
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仁王のその余裕がただただ憎い。








「ブンちゃんイチイチャしたい…」

「うんうんちょっと待って」



今日は日曜日。珍しく部活は休みで仁王ん家に行くことになった。当初はイチャコラしたいとか思っていた。だがそんな俺はもういない。



「ブーンー太ー!」

「うんうん。もうちょっと待って」



今は仁王の家にあったゲームを口実に彼と距離をとっている。
だって仁王の奴家に入るなり脇腹を触ってきて「一線越えていい?」なんて言うんだぜ。もう付き合って五ヶ月。キスもまだな俺らはやっぱりおかしいのか? いや普通だよな!



「…ブンちゃん、チューしよ」

「うん……ってキス!!?」



そう、こうやって手を繋ぐことだって俺には恥ずかしいのに、彼はこんなこと平然と言う。
仁王はきっと経験豊富だから簡単に言えるけど俺はやっぱまだ駄目。自分だって女の子と付き合ったことあるだろって思われるかもしんないけど違うんだ。仁王は別。だって本気で好きになった相手だし。




「なあなあブンちゃん。今日こそええじゃろ」

「だっ…ダメ! 今日は口内炎痛むから!」

「ふーん…」




テキトーな理由つけて逃げるのもそろそろ難しくなってきたな。じと目でこっちを見てくる仁王に、流石に胸がちくりと痛む。そろそろ覚悟を決めるべきなのかもしれない。




「ほう…どれ、口内炎見せてみぃ」

「え!?だめだめだめ!!」



いつもは引き下がる仁王は今日は攻めてきた。
だが俺も引き下がるわけにはいかない。
手と足で奴をこれ以上近づくのを阻止し、なんとか退けようと口で対抗するがやはり仁王に勝てるわけがない。

暫く言い合いが続いたが、数分してお互い言い合いを止めた。
…先に言葉を発したのは仁王だった。




「ゲーム」

「…は?」

「ブンちゃんがさっきやってたゲーム、ゲームオーバーになってるぜよ」

「え、うそ」




視線を下にそらしたときだった。




「隙あり」



「え?」



仁王の顔が0距離であって…キス、されてる。
顔が熱くなるのはそう遅くはなかった。




「え…えぇええええ!!??」


「天才的なキスだろぃ」




俺の口調を真似ながら笑う彼に、今まで以上のときを感じたのは言うまでもない。





<その余裕な態度が>

(ムカつく…でも好き。)


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この作品は企画「プリっとガムった」さんに提出させていただきました!

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