立海

□Ti protegger
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『さーなーだ!今日は三月五日…さて、なんの日だ!』


「………………何の日だ?」




………はい、お約束。

また同じネタかよってゆう苦情は真田と管理人にしてね。誕生日ネタはどうも同じネタになっちゃうんだよ…て管理人が言ってた。とりあえず俺悪くない。









<Ti protegger>










『…はぁ』

「…本当にすまなかった」


雨の日に捨てられた子犬みたいな顔されたって絶対に許さない。まったくさぁ、俺が何日も前から何回も言ってたのになんで忘れるのかなあ。それにわざわざ放課後まで思い出す時間をやったのに…。可愛い可愛い恋人の誕生日くらいおまえの筋肉みたいな脳みそでも記憶できるだろ。それともなんだ、本当に筋肉なのかそれは。この鈍感筋肉野郎。おっさん。ムッツリ。ハゲ…てはないか。

はぁ…こんなこと考えていても始まらないのはわかってるよ。そりゃもう十分に。思うにこんな状態で真田と一緒にたらたら歩いて帰るより、一人で早く帰って蓮二に愚痴の電話した方が楽。早く帰ろう。だってこのままだと真田を生き埋めに…じゃなかった俺が泣いちゃいそうだし…。

“逃げるが勝ち”ならぬ“逃げたら楽”ってね。


『真田、俺一人で帰る。じゃあね。』


勝手に拗ねるけど、いいよね?…答えは聞いてないけど(けっっっして紫色の龍が憑依しているわけではない)
後ろのおっさんなんか無視してさっさと蓮二と浮気してやる!


「幸村!」


走って家に帰ろうとするとやはり追い掛けてくる真田。だが負けない。テニス部部長をなめんなよ!

…なんて気合いを入れたもののすぐに捕まった。おっさんでもスタートダッシュは速いんだね。


「本当にすまなかった。明日にでもなにか…」

『今日がいい。ってか今すぐなにかちょうだい。じゃないと許さない。』


我ながらなかなか無茶苦茶なことを言ったものだ。だってね、これくらい言わないと気がすまないし。
ドヤ顔で真田を見れば困ってる様子。そんな彼を無視して俺は歩きだした。残念ながら神の子は待つのが嫌いなんだ。


「幸村…。」

『なに?無理なら別にいいけど。』

「それは…。っ!…幸村危ない!」


次の瞬間。俺は後ろから真田に引っ張られ、目の前を車が過ぎ去って行くのを見た。混乱している頭でとりあえずわかったことは真田に助けられたことと、あと一歩でまた病院生活スタートだったこと。幸い車に乗ってた見るからに恐い兄ちゃんは、こっちに舌打ちしただけで文句も言わず去って行った。それにこの道は人通りが少ないため騒ぎにもならなかった。
二人の間に静かな時間が流れる。先に破ったのは俺だった。


『…ごめん、ありがとう。助かった。』

「回りはよく見ろ。あと少しで大惨事だったぞ。」

『うん…ホントありがとう。』


今できる限りの顔で笑ってみるものの、しかめっつらの真田。やっぱり迷惑をかけたから怒っているのだろうか…。
…一応謝ろう。


『真田、』

「プレゼント」

『え?』

「どんな時もお前を護り、そばにいる。お前に俺の一生を捧げる…これがプレゼントだ!」


…なんだよ、真顔で言うなよそんな恥ずかしいこと。時代錯誤もほどほどにしろよ。

俺はさっきと変わらず再び足を進めた。
変わったことといえば、蓮二に電話する内容が愚痴から惚気話に変わってしまったことぐらい。蓮二が呆れる確率100%……なんてね。


真田にバレないよう真っ赤な顔を隠すようにマフラーを巻き直した。

END.
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