立海

□壊れた愛のカタチ
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※狂愛








殺したいほど好き。



好きだから殺したくなる。









そう思うことは普通じゃないの?


…これを恋人に真顔で言うのも異常なこと?





「ははっ雅治いつもながらキモい」



『酷いナリ〜ブン太』



「でも、そんなとこも好きだぜぃ」





笑うブン太はなによりも可愛い。
この地球上の生物じゃないかと思うくらい可愛い。

もう愛おしくて愛おしくてしょうがない。





でも、その感情と同時に生まれてくるのはブン太限定の殺人衝動。
今、ブン太の顔面をナイフかなんかで抉りたい。
…だってそうしたらブン太の笑顔は永遠に俺のものになるでしょ。





『ブン太』


「…ん?」


『殺さないから首絞めさせて』


「…ん」




頷いた彼を見て、俺はゆっくりと彼の首に手を掛ける。



少しずつ力を入れると血管が“ドクリ”と音を起てた。
生暖かい感触が手に伝う。


キモチイイ。


この気持ち悪い感触が逆にイイ。
俺を安心させる。




『ブン太、苦しい?』


「あっう……がはっ」




息ができなくて苦しんでる、俺のブン太が。

拳を強く握り、藻掻き苦しむ彼はなんて滑稽なんだろう。
涙ぐみながら、力の無い手で俺の腕を掴む彼はなんて醜いのだろう。




そんな苦しむブン太だが本人はこれを心の底から拒んでいない。
けっして俺の威圧とかで嫌々絞められてる訳ではない。
これは本人も望んだことなのだ。




『ブン太最高。ホンマに愛しとうよ』


「あ…っぐ」


『そんな目せんでも大丈夫じゃき。俺はどんなブン太でも愛せるから』




俺が笑顔で言うと彼もまた笑う。



だからそんな顔しないでくれ。
…ああ、抉りたい。





「っ…は…」


『あ、そうじゃ俺の願い叶えてもらったから、今度は俺がブン太の願い叶える番をじゃのう。
ブン太何か俺にしてほしいことある?』





俺はゆっくり手を離しながら問う。
ブン太はまだ調えない呼吸で「もっと強く絞めてほしい」と呟いた。






<壊れた愛のカタチ>



(異常な日々は終わることなどない)


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